1999 Fiscal Year Annual Research Report
内毒素による実験的歯周炎病巣における組織破壊とマクロファージ系細胞の役割について
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10671698
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊集院 直邦 大阪大学, 歯学部, 教授 (70028786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 明雄 大阪大学, 歯学部, 助手 (40303979)
豊澤 悟 大阪大学, 歯学部, 講師 (30243249)
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Keywords | 内毒素 / 実験的歯周炎 / 免疫組織化学 / マクロファージ / Ia抗原 / リンパ球 / インターロイキン / T細胞 |
Research Abstract |
本研究は、辺縁性歯周炎の重要な発症因子の一つであるリポポリサッカライド(LPS)によって辺縁歯周組織に惹起される炎症性変化に対するマクロファージ(Mφ)系細胞の役割を実験病理学的に検討することを試みたものである。そこで、Wistar系雄性ラットの臼歯歯肉溝よりLPSを1回及び2回局所投与し、同部辺縁歯周組織に出現するMφ系細胞の動態とIL-1βなどの炎症性サイトカインの発現やリンパ球系細胞の出現状況との関係を免疫組織化学的手法を用い検討した。その結果、1.LPS1回投与により、辺縁部歯周組織の特に接合上皮(JE)付近へのED1陽性細胞(単球・マクロファージ系細胞)およびIa陽性細胞が経時的に増加する事を確認した。また、これらの細胞の一部がIL-1βを産生し骨吸収などへの関与が推測された。2.LPS2回投与では、1回投与に比べて、ED1陽性細胞やIa陽性細胞が早期から著明な増加を示す事を見いだした。このIa陽性細胞の増加傾向は非特異的な免疫応答が特異的な免疫応答へ移行している可能性を強く示唆しているものと考えられた。H11年度は、再度抗原刺激を与えた時のリンパ球の免疫応答の違いを調べるために、LPSを1回および2回投与し、辺縁歯周組織に出現するTおよびBリンパ球の出現の有無、分布状態および経時的変化を検索した。その結果、1.1回のLPS投与ではPan-TおよびPan-B陽性細胞は殆ど観察されなかったが、2回投与後3時間後からPan-T陽性細胞だけがJE直下部付近および口蓋粘膜下結合組織にみられた。LPS2回投与では、1回目の投与によってMHC class IIのIa抗原の発現が既に高まっている状態であることより、1回投与の時とは違った免疫応答が生じ、それによりT細胞が特異的に認識され、出現した可能性のあることが推察された。なお、本研究遂行中歯根膜セメント質形成に重要な働きを持つヘルトビッヒ上皮鞘のapopototicな断裂にマクロファージが関与する可能性が示唆され将来検討したい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大西 明雄 他: "LPS2回投与によるラット歯周組織におけるマクロファージ系細胞動態の変化-免疫組織化学・形態計測学的検討"日本歯周病学会会誌. 40巻(秋特). 73 (1998)
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[Publications] 大西 明雄 他: "Osteoclalst in rat periodontium after topical application of lipopolysaccharide"Abstructs of papers for JADR. 95 (1998)
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[Publications] 大西 明雄 他: "LPS 投与によるラット辺縁歯周組織におけるリンパ球系細胞の動態-免疫組織化学的研究"日本歯周病学会会誌. 41巻(春特). 142 (1999)
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[Publications] 岡林 久留美 他: "ラット歯根膜形成における歯原性上皮の分化に関する免疫組学的研究-cytokeratin l4 をマーカーとして"日本歯周病学会会誌. 41巻(秋特). 153 (1999)