1998 Fiscal Year Annual Research Report
根尖性歯周炎の根尖病巣組織内におけるフリーラジカルの産出について
Project/Area Number |
10671801
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
和田 守康 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (00050120)
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Keywords | フリーラジカル / 根尖性歯周炎 / ESRスピントラッピング法 |
Research Abstract |
根尖性歯周炎の根尖病巣組織内におけるフリーラジカルの産生について今年度はin vitro実験系で以下の研究を行った。 本大学病院に来院した患者のうち、臨床的に根尖性歯周炎と診断され急性症状を呈した11名に対して根管内より浸出液を採取した。採取された浸出液はpH7.4のphosphate bufferにて調整し細胞性分と液生成分に分離し実験に用いた。根管から得られた細胞性分及び液性成分からは2.1×10^<-6>から2.7×10^<-6>(M)のhydroxyl radical(・OH)をESRスピントラッピング法にて検出した。このことから根尖部周囲組織において炎症反応が進行していることが考えられる。従来生体内において・OH発生が発生するメカニズムはHarber weiss reactionあるいはFeton reactionのいずれかであるといわれている。そこで今回発生した・OHの反応系を確かめる目的でFe^<2+>キレート剤であるdeferoxamineを添加した結果、濃度依存的に・OHを消去した。また、ウシ血清からのSODを同様に添加した結果・OHシグナルには変化が認められないことから今回の研究で得られた・OHの発生系はFenton reactionによって発生していることが示唆された。また細胞成分を組織標本で検索したところほとんどが血球由来細胞であったことから血球由来細胞の中でも特に好中球などが膜刺激などを受けてrespiratory burstを生じフリーラジカルを発生していると考えられている。またNitric oxide(NO)に対して特異的なトラップ剤であるCalbxy-PTIOを用いてNOの発生を検討した結果、NOシグナルの発生は認められなかった。このことは炎症組織の酸素分圧の変化と組織内におけるinducible form of nitric oxide(iNOS)の発現の確認が必要である。また今回は急性炎症時のフリーラジカル発生を検討したわけだが、今後慢性炎症、特に歯根嚢胞内におけるフリーラジカルの産生と動態について検討する必要がある。
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