1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト咀嚼運動系における運動調節のストラテジーに関する研究 -運動強さと頻度から-
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10671836
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
野口 和子 長崎大学, 歯学部, 助手 (50172771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉松 正 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (50230800)
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Keywords | 運動調節 / 高齢有歯顎者 / 下顎タッピング / 音司令信号 / MKG / 加速度計 |
Research Abstract |
前報までの観察により、高齢総義歯装着群と青年有歯顎群ではその運動調節のストラテジーに違いがあることが類推されている。今回、これらの違いがagingによるものかどうかを確認する為、高齢有歯顎群(平均年齢70.3歳(65〜77歳)の5人(女性1名、男性4名))に対し、ad-lib下顎タッピング運動、0.3Hz定頻度音信号負荷下顎タッピング運動、1.3Hz定頻度音信号負荷下顎タッピング運動時のMKG vertical、咬筋表面筋電図、音司令信号、および運動の状況変化をよく反映すると考えられる加速度の観察を行い、以下のような結果を得た。1.高齢有歯顎群も高齢総義歯装着群に同様、全てのパラメーターについて、個人差、試行回数によるバラツキが大きい傾向がみられた。2.ad-libのタッピング周期は高齢有歯顎群709msec(高齢総義歯装着群976msec、有歯顎青年群691msec)であった。3.0.3Hz高齢有歯顎群の観察で、音信号負荷時点〜Mm burst onsetでは、試行6ないし7回目までは他の運動条件・被験者グループに同様、平均値の漸減傾向が見られたが、試行6ないし7〜30回目までは、その平均値は、ほぼ一定の値を示している高齢総義歯装着群(130〜150msec)と青年有歯顎群(30〜50msec)の間を大きくばらついて経過した。音信号負荷時点〜歯牙接触時点間時間差でも同様の傾向が見られた。なお、1.3Hzでは高齢有歯顎群も他グループに同様、指示通り音信号と歯牙接触時点を一致させている。4.衝撃加速度の大きさにおいて、試行1〜30回まで全体を通してみると値の漸増傾向があるものの、3.と同様、0.3Hzで試行6回目以降、値の大きなバラツキがみられた。5.以上より高齢有歯顎群では、その運動調節において、総義歯装着群・青年有歯顎群とはフィードバック調節、フィードフォワード調節の割合が違っており、その観察は、比較的困難な課題の0.3Hz音信号負荷下顎タッピング運動時に、また衝撃加速度の大きさでよく観察されることが示された。
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