1998 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節内障の関節組織および滑膜細胞の血管内皮細胞増殖能と発痛物質産生態の解析
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10671872
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 茂之 京都大学, 医学研究科, 講師 (50228996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 真也 京都大学, 医学研究科, 助手 (50263075)
村上 賢一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00174269)
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Keywords | 顎関節内障 / 滑膜細胞 / 細胞培養 / IL-1β / V-cadherin / VEGF |
Research Abstract |
顎関節内障の誘因の一部には、物理的応力や酸素分圧の変化などが引金となって顎関節滑膜細胞がある種の形質転換を起こし細胞自身がサイトカインの異常分泌を起こし、滑膜細胞の異常増殖とそれに基ずくVEGFやV-CADの過剰発現、毛細血管新生さらには細胞外基質の分布の偏向が生じ、顎関節円板変化そして滑膜の癒着による開口障害、発痛物質の発現が起きているのでないかと考え以下の実験を施行した。 1) ヒト顎関節滑膜細胞の培養に関する報告は皆無であり、まずその培養条件を確立することを第一目標とした。顎関節から採取できうる滑膜の絶対量は他関節滑膜に比較して著しく少量で、膝関節滑膜培養法に準じて滑膜細胞以外の組織を物理的または化学的に除去すると、わずかの細胞しか残存しない。試みた設定条件は、顎関節内障患者10症例および顎関節骨軟骨腫症の1症例より採取した顎関節滑膜を小塊に切り刻んだ後、コラグナーゼ処理を加え、顎関節滑膜細胞を分離した後、D-MEM培地のみ、5%または10%ウシ血清アルブミン含有D-MEM培地であった。その結果、D-MEM培地のみ,5%ウシ血清アルブミン含有D-MEM培地の群では、ほとんど細胞増殖は観察できなかったが、10%ウシ血清アルブミン含有D-MEM培地の群で24時間経過すると滑膜の増殖が観察できた。 2) 樹立できた滑膜細胞をELISA法にて検定した結果、少量であるがVEGF産生を認めた.さらにサイト力インIL-1βを1ng/ml加え、24時間培養したところVEGF産生量が刺激開始時の約200倍に増加し、免疫組織化学的にも培養細胞内に陽性反応を確認できた。 3) 顎関節骨軟骨腫症の1症例より採取した顎関節滑膜細胞にサイトカインIL-1βを1ng/ml加え培養を24時間継続したところ、IL-1βを加えずに培養した群からはV-CADの産生力が認められなかったが、加えた群からはV-CADの産生が免疫組織化学的に確認できた、
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[Publications] Hiroaki Yoshida: "Histological and immcnchistochemical staining of the disc inpaltent with poorly functonal tempormandibular joint" Jpn J Oral Diog / oral Med.11. 541-545 (1998)
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[Publications] 尾崎晴美: "Substance Pの免疫組織化学的検索を試みた顎関節症の2例" 日 口外誌. 44. 823-825 (1998)
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[Publications] 吉田博昭: "ヒト顎関節標本におけるサブスタンス・Pの発現について(免疫組織化学的研究)" 歯界展望. 92. 1153-1157 (1998)