1998 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子とNF-kBの発現抑制-唾液線癌細胞におけるアポトーシス誘導の増強
Project/Area Number |
10671884
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
東 雅之 徳島大学, 歯学部付属病院, 講師 (20144983)
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Keywords | ヒト唾液腺細胞 / NF-kB / InB-α / アポトーシス / 抗癌剤 |
Research Abstract |
1. 変異型IκB-α cDNAを含むpRc/CMV(srIκB-α cDNA)をリポソームトランスフェクション法を用いて、SV40 DNAによってトランスフォームされたヒト唾液腺細胞(NS-SV-AC)にトランスフェクションした。その後G418をセレクションマーカーとして用いて遺伝子導入された細胞クローンをクローニングした(ACMT-6とACMT-7と命名)。同時にempty vectorであるpRc/CMVのみをトランスフェクションし、遺伝子導入された細胞クローンを併せてクローニングした(ACpRc-1と命名)(投稿中)。 2. ACpRc-1、ACMT-6とACMT-7における細胞増殖能を検索したところ、ACMT-6とACMT-7においてはACpRc-1に比較して60-75%の増殖能を示すことが明らかとなり、NF-κB活性の抑制が細胞増殖能の抑制(アポトーシスの誘導)につながる可能性が明らかとなった(投稿中)。 3. 抗癌剤である5-Fluorouracil(5-Fu)がACpRc-1、ACMT-6とACMT-7のアポトーシスに如何なる影響を及ぼすかを解析したところ、5-Fu処理により誘導されるそれぞれの細胞の増殖抑制率は未処理のACpRc-1に比較して40%、72%、70%であった。しかしそれぞれの未処理細胞をコントロールとした時、増殖抑制率はともに50%であった。すなわち、ACMT-6とACMT-7においては5-Fu処理によっても著明な細胞増殖抑制にはつながらなかった。この原因を検索したところ、5-Fuはこれら細胞のNF-κB活性にはほとんど影響を与えないことが明らかとなった。よって、ACMT-6とACMT-7においてはNF-κB活性を上昇させる抗癌剤にて処理することにより、著明なアポトーシスを誘導しうる可能性が示唆された(投稿中)。
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