2000 Fiscal Year Annual Research Report
α,β-エポキシシランと求核剤との反応を利用する新しい反応の開発
Project/Area Number |
10671986
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武田 敬 広島大学, 医学部, 教授 (30135032)
|
Keywords | α、β-エポキシシラン / シアノヒドリン / Brook転位 / アルキル化反応 / 連続的炭素-炭素結合形成反応 |
Research Abstract |
連続的炭素-炭素結合形成反応を利用する新規合成反応の開発を目的として,ハロゲン化アルキルの存在下α,β-エポキシシランと強塩基との反応を検討した.基質としては,γ-オキソ-α,β-エポキシシランのシアノヒドリン体を用い,ヨウ化アルキルの存在下,低温でLDA,NHMDS,LHMDSなどの強塩基を反応させたところ,瞬時に反応が起こり,単一の成績体が得られた.この化合物は,エポキシ環の開環後,Brook転位により生成したアリルカルバニオンがアリル転位した後シアノ基のα位がアルキル化された化合物であることが判明した.特に興味深い点は,反応中間体のアルキル化成績体が全く検出されないということで,この結果は全過程が協奏的に進行している可能性を示唆するものである.したがって,容易に入手できる光学活性エポキシドを用いれば,エポキシドのキラリティーをカルバニオンに転写できる可能性があり,今後,新しい不斉反応としての可能性にも検討を加える予定である. 一方,β-シリル-α,β-エポキシアシルシランとケトンエノレートとの反応では,エノレートの付加体におけるBrook転位によるシロキシカルバニオンの発生,エポキシ環の開環と2回目のBrook転位,そしてアリル転位に続く分子内アルドール反応が連続的に起こり,(β-シロキシビニル)シクロプロパンジオール誘導体が得られた.この結果は,通常の5〜6工程に相当する素反応が一挙に進行していることを示唆しており,合成反応の効率化,経済性の観点から極めて興味深い.
|
Research Products
(1 results)