1998 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化発症におけるリン酸脂質とリゾリン脂質の役割解明
Project/Area Number |
10672043
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
徳村 彰 徳島大学, 薬学部, 助教授 (00035560)
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Keywords | 動脈硬化 / 高コレステロール血症 / 血漿脂質 / 脂質過酸化 / 酸化リポタンパク / リゾホステァチジン酸 / リゾホステァチジルコリン / リゾホスホリパーゼD |
Research Abstract |
高コレステロ一ル負荷食でウサギを長期間飼育すると動脈硬化の病巣が観察できるようになる。このモデルでは、血漿脂質代謝の異常が動脈硬化に大きく寄与していると思われる。リゾホスファチジン酸(LPA)は多彩な生物活性を示すリン脂質性アゴニストであり、繊維芽細胞や血管平滑筋細胞の増殖を誘導する。我々は、この新規増殖因子が動物血漿や血清に含まれる活性因子の一つであり、リゾホスホリパーゼDにより血漿中に多量に存在するリゾホスファチジルコリン(LPC)から生成することをすでに明らかにしている。本研究では、高コレステロール負荷による動脈硬化の発症にLPAが関与する可能性を調べた。 ニュージーランド白色ウサギを1%コレステロールを含む餌で12週間飼育し、1,2,3,4,8,11,12週で耳介静脈から採血し、直ちに血漿を調製した。放射標識したLPCを血漿に添加し37℃で2,4,6時間保温後、脂質を抽出しTLCで放射活性LPAを分離定量しリゾホスホリパーゼD活性を求めた。その結果、本酵素活性は、コレステロール負荷1週ですでに負荷前と比べ有意に高く、2-3週で更に活性が増加するが、4週以降は負荷前のレベルに低下した。また、ガスクロマトグラフィーで血漿のLPCとLPA量を定量したところ、コレステロール負荷に伴い両リゾリン脂質の濃度が増加していることが明らかとなった。特に、コレステロール負荷3週までの増加率は著しく高かった。これらの結果から、リゾホスホリパーゼDにより生成するLPAが動脈硬化の初期段階に何らかの役割を果たしていることが示唆された。
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