1998 Fiscal Year Annual Research Report
ブルトン型チロシンキナーゼのアレルギー反応における役割の解析
Project/Area Number |
10672045
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
稲垣 直樹 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (30137062)
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Keywords | ブルトン型チロシンキナーゼ / CBA / Nマウス / XID / IgE / アレルギー反応 |
Research Abstract |
Bruton's tyrosine kinase(Btk)のアレルギー反応における役割を解明するため、CBA/JおよびCBA/Nマウス、CBA/JとCBA/NとのF1マウス、およびBtk-KOマウスを用いてアレルギー性皮膚反応を比較検討した。IgEおよびIgG1による受け身皮膚アナフィラキシーはCBA/Jマウスに比してCBA/Nマウスでは減弱する。また、Btk-KOマウスにおいても減弱がみられる。受け身皮膚アナフィラキシーの減弱は肥満細胞活性化の低下に起因するものと推定される。IgE依存性二相性皮膚反応もCBA/NマウスおよびF1雄性マウスでは比較対照マウスに比して減弱するが、第二相の反応の減弱が著明である。第二相の反応の形成にはTNF-α、IL-1βなどのサイトカインが役割を演じるので、Btk異常がサイトカイン産生を障害する可能性が考えられる。最近、第二相に引き続き、好酸球浸潤の顕著な第三相の反応が出現することが明らかになった。第三相の反応もF1雄性マウスでは減弱する。ハプテンを反復塗布して誘発する皮膚反応では、Btkの異常によってむしろ皮膚反応が増強される傾向が認められ、血中IgE値は明らかに高値を示す。したがって、アレルギー反応に関わる炎症細胞にBtkが発現しており、アレルギー反応を制御している可能性が考えられる。すでに肥満細胞ではBtkの発現が確認されており、活性化に役割を演じることが明らかになっているが、他の炎症細胞においてもBtkが役割を演じている可能性が考えられる。
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