1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672071
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
三輪 一智 名城大学, 薬学部, 教授 (60076734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 行康 名城大学, 薬学部, 講師 (60103264)
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Keywords | グルコキナーゼ / 肝臓グルコース代謝 / 糖尿病 / 代謝調節 / 経口血糖低下剤 / トログリタゾン |
Research Abstract |
グルコキナーゼ(GK)は,肝臓グルコース代謝の調節に関与する重要な酵素であるが,酵素活性の調節機序についてはよくわかっていない。私共はすでに,GKはグルコース濃度が上昇すると細胞核から細胞質へ移行し,低下すると細胞核ヘ戻ることを明らかにし,この現象がGK活性調節,ひいては肝グルコース代謝調節に関与する可能性のあることを指摘した。 これまではGKの細胞内分布を定性的に評価してきたが,この度,それを定量的に評価できる方法を開発した。すなわち,細胞核の膜にあるnucleoporinというタンパク質と細胞膜直下に主に存在するactinを特異的に染色することにより,各細胞ごとの細胞全体と細胞核の占める範囲を明らかにし,細胞質内および細胞核内それぞれのGK染色強度を画像解析して両分野におけるGK分布率を求めることができた。この方法を用い,GKの移行に伴う分布率の変化とグルコースリン酸化活性(D-[2-^3H]グルコースを用いて測定)の変化がよく相関することを明らかにした。 また,核から細胞質への移行を促進する化合物は,肝グルコース代謝を亢進させて血糖を低下させ得る可能性があるので,各種化合物のGK移行に対する影響を調べる過程で,経口血糖低下剤として使われているトログリタゾン(ノスカール)が肝細胞のアポトーシスを起こす作用のあることを見い出した。トログリタゾンの重要な副作用として知られる肝障害と本作用に関連があるか否か興味あるところである。
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