1998 Fiscal Year Annual Research Report
銅錯体による低密度リポ蛋白モデル化合物の酸化機構の解明
Project/Area Number |
10672101
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
上田 順市 放射線医学総合研究所, 第1研究グループ, 研究員 (90160168)
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Keywords | 銅錯体 / リノール酸 / 脂質過酸化 / 低密度リポ蛋白 |
Research Abstract |
不飽和脂肪酸の過酸化物及びその分解物が低比重リポ蛋白のリジン残基やヒスチジン残基等を修飾することにより生じる変性リポ蛋白が動脈硬化の引き金の1つと考えられている。その変性リポ蛋白の生成過程を知るために、銅錯体によるリノール酸の過酸化過程をN-アセチルリジン(蛋白のリジン残基のモデル化合物)の存在下でのCu(II)(CyHH)_2(CyHH;cyclohistidylhistidyl)、Cu(II)(en)_2(en;ethylenediamine)、Cu(II)(OP)_2(OP;o-phenanthroline)等の銅(II)錯体によるリノール酸の過酸化過程を蛍光スペクトル等の分光学的手法や高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて検討した。その結果、N-アセチルリジン存在下、Cu(II)(CyHH)_2によるリノール酸の過酸化反応においてリノール酸の過酸化過程で生ずる共役ジエンの234nmの吸光度の経時変化とHPLCの測定結果からリノール酸過酸化物の生成とその分解が示された。さらに、360nmの励起波長で430〜450nmに蛍光を示すスペクトルが得られた。他の銅(II)錯体に関してもCu(II)(CyHH)2の場合と同じ結果を得た。これらの結果から、リノール酸過酸化物及びその分解物とN-アセチルリジンが反応して蛍光物質が生成することが示唆された。現在、蛍光物質の同定を行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 上田順市: "Reactive Oxygen Species Generated from the Reaction of Copper(II)Complexes with Biological Reductants Cause DNA Strend Seission" Archives of Biochemistry and Biophysics. 357・2. 231-239 (1998)
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[Publications] 上田順市: "銅錯体・過酸化水素系による脂質の過酸化と分解の機構解明" 磁気共鳴と医学. 9. 79-82 (1998)