1999 Fiscal Year Annual Research Report
血管肥厚に対する白血球接着阻害療法の有効性に関する基礎的研究
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10672151
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
滝口 祥令 徳島大学, 薬学研究科, 助教授 (40163349)
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Keywords | 血管内膜肥厚 / 細胞間接着 / 白血球 / fucoidin / セレクチン / Vitamin E欠乏 |
Research Abstract |
白血球は傷害発生後初期に傷害部位に浸潤し活性酸素や各種サイトカイン等を産生・分泌することにより炎症反応の中心的役割を担っている。血管内膜肥厚形成も内膜傷害に起因する反応であり、その初期過程において白血球の関与が推察される。そこで、一連の白血球が関与する反応の開始点となる白血球-血管内膜接着反応の第一段階、rolling反応の阻害による血管肥厚抑制の可能性を検討した。Vitamin E(VE)欠乏ラットおよびマウスを用い、それぞれバルーンカテーテル擦過法(ラット)、結紮法(マウス)による頚動脈血管肥厚へのL-及びP-セレクチン阻害薬fucoidinの影響を組織学的に検討した。ラット、マウスともにVE欠乏群では対照正常群に比べ傷害後の血管内膜肥厚が有意に増加していた。Fucoidin(10mg/kg/day)処置によりVE欠乏群では内膜肥厚が有意に抑制されたが、正常群では有意な影響はみられなかった。傷害部位での活性化白血球接着を生体位O_2^-依存性化学発光法にて検討した結果、VE欠乏群では白血球の接着が顕著に増加していた。なお、白血球細胞膜表面のL-セレクチン発現には両群で差はみられなかったことから、VE欠乏はrollin反応自体には影響せず、その後の接着、炎症メディエーター産生・放出等の反応を増強したものと思われる。以上の結果より、白血球の血管肥厚形成への関与は過酸化状態などモデル動物により異なることが示唆されたが、セレクチンを標的とした白血球接着阻害療法は血管肥厚予防に有効である可能性が示唆された。また、内因性VEの抗動脈硬化作用の一部は白血球依存経路の血管肥厚形成阻害によるものと考えられた。
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