1998 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック耐性亜株におけるHsp70蛋白質発現機構変異の解析
Project/Area Number |
10672180
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
小谷 富男 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (10161936)
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Keywords | 熱ショック / アポトーシス / Hsp70 / caspase / HSF-1 |
Research Abstract |
37℃にて維持しているJurkat細胞株を7日ごとに43℃に暴露し、暴露時間を徐々に延長することにより、43℃-120分耐性亜株を得た。この亜株は43℃、120分の熱ショックに対して正常Jurkatが示すアポトーシスを示さない。そこで、亜株がアポトーシス能を回復するのに必要な日数および熱ショックアポトーシスの機序を知るためにHsp70産生とcaspaseの活性化を検討した。 43℃-120分耐性亜株が熱ショックアポトーシス能を回復するには、正常Jurkatの50%まで回復するのに約120日、80%までには約220日を要した。また、途中で樹立したクローンでは50%回復に約260日、80%回復に約300日を要した。 熱ショックアポトーシス抵抗性はHsp70蛋白質のaccumulationによると考えられ、この原因はHsp蛋白質分解経路が熱により損傷されているためと考えられた。 43℃-120分耐性亜株は時間とともにアポトーシス能を回復するが、これとは逆にhsp70mRNA産生能は低下した。この原因としてはHSF-1のリン酸化および脱リン酸化のメカニズムに変化が生じているためと考えられる。 caspaseの活性化を1,2,3,4,6,7,8,10につき、いわゆるp20とp10の出現を目安にWestern blotにより検討した。43℃-120分耐性亜株ではcaspaseの活性化がほぼ完全に抑えられていると考えられた。 Hsp70蛋白質accumulationとcaspase活性化抑制の関係は現象論的に断定されている段階であるが、ミトコンドリアを考慮することにより分子レベルでcaspase活性化抑制機序を解析できるのではないであろうか。
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