1998 Fiscal Year Annual Research Report
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10672253
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
岩井 郁子 聖路加看護大学, 看護学部・看護学科, 教授 (30095947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豐増 佳子 聖路加看護大学, 看護学部・看護学科, 講師 (60276657)
佐藤 紀子 東京女子医大, 医学部・看護学科, 助教授 (80269430)
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Keywords | 診療情報の提供 / 診療記録の開示 / 看護記録モデル開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、診療情報の提供ならびにその一環として診療記録の開示の目的にかなう看護記録のモデルを開発することである。平成10年度は看護記録モデル開発に必要な基礎資料の収集とその分析を行った。すでに診療情報の開示がなされているアメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどでは法律によって情報を知る権利が保証されている。その情報として「健康状態、治療方法とその意義、治療経過、危険度・安全度の可能性に関する情報(ドイツ)」というようにその内容を明示している国と、診療記録そのものにアクセスする権利を保証している国(イギリス、アメリカ)がある。日本は後者の方法によって診療記録開示を推進しようとしている。このことから、アメリカ看護婦協会のStandards of Clinical Nursing Practice(1991年)ならびにイギリス看護協会のStandards for Records and Record Keeping(1993年)が、具体的な看護記録モデル開発に有用であることが明らかになった。 また、日本全国137施設から、記載された看護記録を収集した。その病院は特定機能病院から小規模病院まで多様であった。内容分析の結果(1)入院時に患者・家族から得た情報(2)患者の問題(看護婦が解決しなければならないと同定した患者が持つ問題)(3)問題解決のための看護計画(4)入院中の患者の日々の経過あるいは時間軸を中心とした状態と行われた治療・処置に関する記録に大きく分類された。しかし、その名称および構成要素はまさに多様で、名称は類似しているものの一つとして同じものは無い。現状は、患者のための記録というよりは看護婦・士あるいは医療従事者のための記録であり自己決定に基づく医療を推進する上で現状の看護記録は大きな課題を抱え、記載内容とその質に関しても基準を設定する必要性が明らかになった。看護記録モデルとして看護における情報提供・看護記録開示の意義と目的、看護実践における責務、看護記録の概念、目的、記録の重要性、記録のスタンダード:欠くことが出来ない要素、記録と看護倫理からなるモデル開発が示唆された。
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