2000 Fiscal Year Annual Research Report
肥満女性の味覚感度は低下しているか?肥満の原因を舌から検索する
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10680144
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Research Institution | SAGA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
水沼 俊美 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (60035508)
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Keywords | 味覚感度 / 肥満 / 加齢 / 食環境 |
Research Abstract |
平成10年度では、1)女性の味覚感度が加齢にともない低下すること、2)肥満女性は、年代をおうごとに増加(30歳代よりも40歳代、40歳代よりも50歳代で増加)すること、3)肥満女性の味覚感度は、40歳代から非肥満者に比べて有意に低下することを明らかにした。 平成11年度では、平成10年度の実績をもとに、味覚感度の低下と食生活の関連を調査した。結果、1)摂取エネルギーは過剰ではないこと、2)脂質エネルギー比が高く、油脂に偏っていることを明らかにした。さらに、男性についても、女性と同様(平成10年度と平成11年度の内容)に検索した。結果、1)男性も、女性と同様の結果を得た。つぎに、調査を中国に拡大した。中国は、生活習慣病(肥満)の萌芽期にある都市部と、肥満者のいない農村部を選び、味覚調査を実施した。 平成12年度には、何度も中国東北部にでかけ、栄養調査(食生活調査)と食環境、生体計測をおこなった。現在、データーを集計、分析中であるが、以下の結果をえた。 1)都市に住む漢族は、農村に住む漢族よりも味覚感度が高い。2)都市に住む漢族の味覚感度は日本人の味覚感度と同じ。3)都市に住む漢族のBMI(Body Mass Index)は、過体重、肥満に分類される割合が、農村にすむ漢族に比べて高い。4)エネルギー充足率は都市に住む漢族のほうが高い。5)脂質エネルギー比が非常に高く、日本人のそれ以上であった。6)都市に住む漢族の摂取食品数(一人一日当たり)は、農村に住む漢族よりも有意に多い。7)農村に住む、少数民族(満族、タウール族、キルギス族、オンコ族)の味覚感度は、農村に住む漢族よりも低い傾向がある。8)調理操作は、炒めるが60%でる。都市のほうが調理操作の種類が多い。都市と農村の食環の格差は近年の傾向であるので、1960年から1970年代の農村の食環境を聞き取り調査し(データーは文化大革命で消滅している)、今後の記録にとどめたい。また、豊食で肥満・味覚感度低下そして、貧食による味覚感度低下を対比しながら、食環境の違いと味覚感度の関係についても、検討を加える予定である。 日本の食文化は、何千年も、中華食文化の影響を受けてきた。食品(米、小麦、茶、豚、魚、大豆、油)と調理操作、味覚感度の日中比較「図」を作成し、肥満予防を作図することが夢である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 坂井堅太郎: "小・中学生のアレルギーと病気欠席に関する調査"アレルギーの臨床. 20・7. 586-590 (2000)
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[Publications] 荒尾恵介: "「離乳の基本」改定前後における育児雑誌の離乳食メニューの変遷"西九州大学・佐賀短期大学紀要. 30. 85-89 (2000)
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[Publications] 金子真紀子: "肥満における味覚の変化"肥満研究. 5・1. 30-34 (1999)
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[Publications] 水沼俊美: "n-3及びn-6系不飽和脂肪酸からみた料理の脂質評価"栄養学雑誌. 57・1. 37-44 (1999)
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[Publications] 水沼俊美: "脂肪酸からみた食事脂質評価の一例"栄養学雑誌. 57・1. 45-49 (1999)
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[Publications] 水沼俊美: "女性の味覚感度は加齢で低下し、肥満では酸味が低下する"肥満研究. 4・4. 25-29 (1998)
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[Publications] 于秉柯: "健康と食べもの、中国東北部の食生活-農村と都市の比較-"家政教育社. 5 (2000)
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[Publications] 于秉柯: "味覚感度にみる食塩摂取の栄養指導"保健の科学. 4 (2000)