2000 Fiscal Year Annual Research Report
養殖クルマエビにおけるオキシテトラサイクリンの残留性と調理による影響
Project/Area Number |
10680165
|
Research Institution | Aichi Konan College |
Principal Investigator |
宇野 和明 愛知江南短期大学, 生活科学科, 助教授 (80223585)
|
Keywords | オキシテトラサイクリン / クルマエビ / 残留性 / 加熱調理 / ファーマコキネティクス |
Research Abstract |
本研究では、クルマエビにおけるオキシテトラサイクリンの残留特性を明らかにし、さらに、加熱調理が魚体内に残留する薬物に及ぼす影響について調べた。健康なクルマエビにオキシテトラサイクリンを強制経口投与(50mg/kg)して、その組織内濃度を高速液体クロマトグラフィー法により求めた。得られた知見に基づき、養殖クルマエビにおいて食品としての安全性を確保できる休薬期間及び残留基準値について評価した。投薬後、血リンパ及び筋肉組織におけるオキシテトラサイクリンは1-コンパートメントモデルに従って解析することができた。その結果、消失半減期は血リンパで44.7時間、筋肉で46.8時間であった。また、現在設定されている残留基準値(0.10ppm)以下になるのに要する時間は血リンパで9.9日、筋肉で9.3日と算出された。それらは定められている休薬期間である25日以内であった。しかし、硬組織の殻においてオキシテトラサイクリンは投薬後に明瞭な消失相が認められず、投薬後25日でも高濃度で検出された。一般にクルマエビの殻は食されず、不可食部として扱われている。現在、厚生労働省の「残留有害物質モニタリング検査」では可食部のみを検査対象としている。したがって、休薬期間及び残留基準値の設定に不可食部の残留を考慮すべきか否かは今後の検討課題である。茹でる、焼く、揚げるの加熱調理により、筋肉中の残留オキシテトラサイクリンは50〜70%分解消失した。一方、殻では、その消失20〜30%にとどまり、硬組織における残留オキシテトラサイクリンは加熱調理に対して安定であった。
|
-
[Publications] Kazuaki Uno: "Recent Advances in Marine Biotechnology Vol.5 (Pharmacokinetic Studies of Drugs Against Vibriosis in Cultured Fish)"Milton Fingerman and Rachakonda Nagabhushanam editors Science Publishers, Inc., NH, USA. 382(335-356) (2000)