1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本語の談話におけるスタイル交替の実態とその効果についての分析
Project/Area Number |
10680309
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松村 瑞子 九州大学, 言語文化部, 助教授 (80156463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
因 京子 九州大学, 留学生センター, 助教授 (60217239)
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Keywords | 敬語行動 / ポライトネス・ストラテジー / 談話分析 |
Research Abstract |
1 データ収集および入力 (1) 先ず、予備調査として、テレビのインタビュー番組[徹子の部屋」およびラジオのインタビュー番組「ラジオ談話室」をテープに録音録画し、そこで行なわれている会話を10件、文字化して入力した.この文宇化されたデータを分析した結果、話者は明らかに対話者の社会的地位、年齢、性別に応じてスタイルのレベルを設定し、そのレベル内で様々のポライトネス・ストラテジーを用いながら、対話者との会話を成功させようとしていることが明らかになった. (2) (1)の調査を踏まえて、日本人が実際の会話で相手の地位、年齢、性別に応じてどのようなスタイル交替を行なっているかを調査するため、6名の話者(医師、大学教師、小学校教諭、大学職員)に社会的地位、年齢、性別の異なる数名の人物との対話を録音してもらった. (3) 次に、録音されたテープを研究補助員4名に文字化してもらった.この最初の文字化資料にはミスが数多くあり、また表記の統一が守られていないこともあるため、松村・因が資料の修正、書式統一を行なって文字化資料を完成させた.文字化にあたっては宇佐見(1996)を参考にさせてもらった. 2 データ分析結果と今後の研究課題 データを分析した結果、日本人会話における敬語行動はBrown & Levinson(1987)では十分には記述できないことが分かった(松村(1999)参照).今後は日本のように上下関係を前提とした社会における敬語行動の原則を考察し、それを日本語学習者がどの位理解しているか調査し、指導法を考案していく.
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[Publications] 松村瑞子: "日本語談話におけるスタイル交替の実態とその効果" 言語科学. 第33号. 109-118 (1998)
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[Publications] 松村瑞子: "日本語会話におけるポライトネス -Brown & Levinson (1987) の妥当性を中心に-" 言語科学. 第34号印刷中. (1999)
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[Publications] 因 京子: "発話の適切性を支える要因と学習者の認識:どう評価すれば問題点を伝えられるか-伝達能力記述の試み(2)-" 比較社会文化. 第4巻. 87-98 (1998)
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[Publications] 因 京子: "大学院レベルの日本語予備教育に求められるもの-日本語の到達度は何を示すのか-" 日本語教育. 99号. 120-130 (1998)
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[Publications] 因 京子: "映像メディアに見る女性" 放送芸術-メディア研究. 印刷中. (1999)