Research Abstract |
1.サウンドスケープおよびサウンドスケープ・デザインの考え方に基づいて,図書館における音環境の実態と,音環境に対する図書館員の意識を調査した。これまでに北海道,東京,神奈川,千葉,愛知,大阪,京都,滋賀,福岡,長崎,及び沖縄の11の都道府県の公立図書館(計1047館)を対象に,音環境の実態と図書館員の意識を質問紙により調査し,11都道府県の公立図書館における音環境の総合報告と比較分析を行った。 2.今回は,調査の際に得られた図書館員の意見(自由回答方式)を中心に,分析を行った。図書館において環境音楽(BGM)を流すことについては賛否両論があり,環境音楽の採用・不採用の理由は,個々の図書館の立地条件や環境および創設年,図書館の方針や図書館サービスに対する考え方に由来することがわかった。環境音楽を採用している図書館では,選曲や音量,音楽を流す場所,流さない場所等について,十分考慮して実施しているところが多かった。図書館の音環境というテーマついては,まだあまり関心をもたれていないようであり,話題にのぼらない,議論をしたことがないという図書館が多かった。しかし,図書館のアメニティーの一つとして,デザイン,色彩,光環境等とともに図書館の快適性を考えるときの重要な要素であり,今後考慮していきたいという意見も少なからずみられた。また,この調査が図書館の音環境を考える良い機会となったという意見もあった。
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