Research Abstract |
核融合炉構造機器等の強磁場中の構造物では,構造物の変形と渦電流の発生が連成する電磁・構造連成現象が生じる.特に,磁場が強い状態では,この連成現象により機械振動数が変化し,また,共振に似た特異な減衰挙動を示す可能性があるため,強磁場中の機器の設計では,この連成現象を考慮した強度評価方法が必要である. 本研究では,こうした強磁場中の機器の強度評価方法を確立するため, 1. 連成解析による実験条件の決定 電磁・構造連成解析プログラムにより,試験片形状,寸法,磁場の強さを変化させて解析を行い,機械振動数の変化および磁気共振減衰の実験条件を決定した.この実験条件では,磁場の印加により,振動数が10%以上変化するため,有意な実験結果を得ることができる.また,振動数の変化により磁気共振減衰も生じるため,この現象の解明や評価方法の検証に必要な実験結果を得ることができる. 2. 磁気減衰振動・予備実験 連成解析により得られた条件で実験を行うため,実験装置の製作・改良を行った.磁気共振減衰は,磁場が強いほどその現象が顕著に表れるため,新たに磁界発生用コイルを製作した.また,共振現象の測定には加振実験が有効であるため,磁場中での加振実験方法を検討し,実験方法を決定した.さらに,本実験では磁場中で測定を行うため,測定機器等の磁場中での性能を予備実験により検証し,測定精度を確保した. 3. 機械振動数変化に関する実験 磁気減衰に伴う機械振動数を測定し,試験片に磁場を印加することにより振動数が数%変化したことを確認した. 今後,材質,寸法等が異なる試験片に対しての測定結果や連成解析結果に基づいて,機械振動数の変化および磁気共振減衰挙動を一意的に表せるパラメータを決定し,この評価パラメータによる強度評価方法を確立する.
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