1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680494
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
遠藤 辰雄 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20001844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 教幸 北海道大学, 大学院地球環境科学研究科, 助教授 (10261348)
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Keywords | 酸性雨 / 酸性雪 / 硝酸塩 / 雪結晶 / エアロゾル / 降雪雲 / 降雪強度 / 霰 |
Research Abstract |
(はじめに)今年は観測予定時期に海外学術研究に関係して、北極圏スバルバール諸島のニーオルセンに約1ヶ月間滞在する機会を得る事が出来た。そこでは垂直レーダ等、各種の降雪観測装置およびエアロゾルやガス等の大気微量成分の観測が行われているので、酸性雪の観測は主にこの地点で行うことにした。 (目的)これまでの観測から雲粒の付かない気相からの拡散成長する雪結晶には硝酸塩が卓越して多く含まれることが発見され、これが観測点の大気境界層が極めてきれいな場合でも観測されることが確められた。このことから硝酸塩の長距離輸送の可能性を考慮する必要が生じてきた。これを極域において確めることは極めて効果的であり、観測によって明確な判断ができる希少な例として期待されるところである。そこでの大気は通常は元々かなり清浄であるうえに、到来する気団は地球的規模で長距離を渡ってきたものと考えることが出来るからである。 (方法)降雪の採取は直接受止め細心の注意のもとで取りこんだ。その方法は2m立方空間を占める様にアルミパイプでフレームを作り、それに防風ネットを張ってウインドシェルターとした。その中央部に、良く洗浄したプラスチク容器(上面口径:42cm×32cm)に蓋をして4個並べて平置きにした。降雪があると蓋を開けて降雪粒子を直接受け止める様にした。この容器の降雪に対する露出時間は1-2時間までとし、降雪が止んでる時は蓋をして待機するか或は、一旦捕集するかしてドライフォールアウトを避ける様に注意した。容器の底に積もった降雪を専用の「へら」で掻き集め、タッパー容器に移してから、ビニール袋に詰めて封をして番号をつけ、冷蔵保存した。また、これと同時に以下の項目の観測を行った.それらは降雪粒子のvideo撮影、LowVolumeエアサンプラー、High Volumeエアサンプラー、電子天秤降雪強度計である。観測場所はNy Aalesundで、観測期間は1998年12月中旬〜1999年1月中旬である。 (まとめと考察)この地域では降雪は概ね低気圧に伴って起こるためにかなりの暴風大雪の状態に激しい地吹雪に見まわれることがこれまで報告されてきた。しかるに、今冬の期間では一般的に降雪の回数が多く、降雪量も多かったと言える。そのうえ、多くの場合、降雪時に余り強風は吹かずに静穏にして降る降雪であったので、化学分析や同位体分析にとって、かなり良好な条件の降雪試料が得られている。降雪粒子に関しては、観測点が海岸で海は結氷していないために、水蒸気は豊富で暖かい空気が上空に到来し雲粒付き雪結晶が多く見られた。しかし、北西風の卓越する時には雲粒の付かない雪結晶が長時間持続して観測採取された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Matsumi: "Reaction and Quenching of Cl (2Pj) atoms in collision with methane and deuterated methane" Journal of Physical Chemistry (Series A). Vol.101(7). 1216-1221 (1997)
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[Publications] Y.Matsumi: "Isotope 18-0/16-0 ratio measurements of water vapor by use of photoacoustic spectroscopy" Applied Optics. Vol.37(27). 6558-6562 (1998)
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[Publications] T.Takahashi: "Influence of the growth mechanism of snow particles on their chemical composition" Atmospheric Environment. Vol.30. 1683-1692 (1996)