1999 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子線照射が若・老齢脳卒中易発症ラットの骨格筋酵素活性および骨代謝に及ぼす影響
Project/Area Number |
10680514
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Research Institution | KYOTOUNIVERSITY |
Principal Investigator |
田口 貞善 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (90086819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 隆司 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80180769)
森谷 敏夫 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (90175638)
津田 謹輔 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10180001)
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Keywords | 重粒子線照射 / 脳卒中易発症ラット / 骨格筋酵素活性 / 骨代謝 |
Research Abstract |
本研究は、平成10年度において若齢(3ヶ月齢)のWistar系ラット及び同系の脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)と老齢期(18ヶ月齢)のWistar系ラットに対して重粒子加速器(HIMAC)を用い、急性で単一の重粒子線照射(照射条件は1.25、2.5Gy、Letを42.35KeV/μm、照射量は1.25Gy/min)を行い、骨格筋線維の組織化学的特性および骨代謝への影響を報告した。 平成11年度は無重力と宇宙放射線、カルシウムの同時影響を調べるため、スペース・シャトル(STS-80)で18日間宇宙にSHRラットを滞在させ、異なるカルシウム含量(2.0%と0.72)の食餌を投与し、骨格筋線維の組織化学的特性およびミオシン重鎖発現への影響を検討した。ヒラメ筋では地上・対照群と比較してSO線維は53%減少し、FOG線維は24%減少した。また、SO線維の萎縮率はFOG線維に比較して約2倍以上であった。カルシウム摂取水準の違いによる影響はほとんど見られなく、微小重力の影響が大きいことが認められた。ところが、長指伸筋においては高カルシウム摂取群ではFOG線維は15%増加し、FG線維では16%増加をがみられた。また、低カルシウム摂取群では、FOG線維は20%、FG線維は21%の増加を示した。カルシウム摂取水準にかかわらず、両線維において同程度の面積増加率がみられた。ヒラメ筋の筋線維組成について、宇宙滞在群はSO線維比率が21%減少し、逆にFOG線維が24%上昇した。EDL筋では、よく似た筋線維組成パターンを示したが、群内では高カルシウム摂取群が有意にFG線維の高い占有率を示した。そこで、SDS-PAGE電氣泳動法でミオシン重鎖発現分析を行った結果、カルシウム摂取水準では有意差はなく、宇宙滞在群(高Ca)ではMHC typeIが約29%減少し、MHC type IIxが約28%増加した。同様に宇宙滞在群(低Ca)においてもMHC typeが約23%減少し、MHC type IIx、約24%増加した。宇宙滞在群はMHC type IIbも僅か増加の傾向にあった。これらの変化には内分泌系ホルモン(サイロイドホルモン等)が作用する可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 田口 貞善: "模擬無重力とTenotomy同時処置が筋線維の形態及び酵素活性に及ぼす影響"Space Utilization Resarch. 15. 116-119 (1999)
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[Publications] 田口 貞善: "Tenotomyと模擬無重力による骨格筋萎縮の組織化学的解析"体力科学. 48・3. 442 (1999)
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[Publications] Taguchi,S.: "Effect of calcium-loading on musce fiber size and composition following speaceflight"Med.Sci.Sports Exerc.. 31・5. s211 (1999)
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[Publications] Taguchi,S.: "The effect of ×-Ray irradiation under simulated microgravity on enzymatic activities of skeletal muscle in rats"Adv.Exerc.Sports Physiol.. 5・4. 187 (1999)
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[Publications] Taguchi,S.: "Electrophoretic analysis of myosin heavy chain isoforms in rat tenotomized soleus and edl muscles following simulated microgravity"Adv.Exerc.Sports Physiol.. 5・4. 187 (1999)
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[Publications] 田口 貞善: "宇宙滞在とCa摂取が高血圧自然発症(SHR)ラット骨格筋の酵素活性に及ぼす影響"体力科学. 48・6. 720 (1999)