1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680548
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 義則 九州大学, 農学部, 教授 (70081495)
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Keywords | 熱汚染 / 水 / 相変化 / 気化潜熱 / 気化冷却 / 都市 / ヒートアイランド / 保水性セラミックタイル |
Research Abstract |
都市は人工環境として自然環境の対極にあり,東京都区内や福岡市などの大都市はここ100年間で2℃もの昇温を示している.これはまさに21世紀後半の地球温暖化の前駆症状と言うべき状態である.その原因は,人口集中にともなうエネルギーの使用増加と都市の構造自体の特性による.後者は植生を除去しコンクリート類に置換し蒸発散を極度に減少させたことが問題である.本研究は,この構造変化によるマイナスを補う方式の開発を目的とする. そこで蒸発環境を回復させる資材として保水性セラミックタイルを使用し、その気化冷却機能特性について実験的研究を行った.今年度は単位面積当たり冷却能力を上昇させる方式として折り板型の屋根面について検討した。これは平面敷設に比して面積が広くできる傾斜面を含むもので、水平底面を挟んで南面と北面からなり,合計20列,面積50m^2〈平面投影)である。 各面の表面温度は盛夏の正午頃において,水平底面(35.9℃)>南面(34.4℃)>北面(33.9℃)となり,かつ屋根上気温(32.0℃高度4.5m)より高め,草地気温(35.3℃高度1m)並びに草地面(43.8℃高度0m)より低めであった.表面温度は元々のスチール屋根面より日射最強時に約20℃も低温となっていた.このときの蒸発水量は水平底面(0.86mm/h)>南面(0.74mm/h)>北面(0.46mm/h)であった.蒸発水量は気化潜熱となるので,これらの温度の出現順位は入射エネルギ一と表面直近の風速の強弱を反映している.つぎに,熱放射特性を対人間でとると,従来型が加熱に作用したのに対し,セラミックタイルでは放熱に作用し熱ストレスを軽減していた. 平面敷設でも降温効果は大きいので,広域の屋外表面温度を低下させるには必ずしも傾斜面を持たせる必要はないと考えられた.都市域内にこの方式を広めることができれば,大幅な熱汚染の軽減が達成できよう.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 尾崎哲二: "保水性セラミックタイルの熱環境改善に関する研究"水工学論文集. 43. 239-244 (1999)
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[Publications] 鈴木義則: "保水性セラミックの屋根面敷設による夏季の内外表面温度の改善"九州の農業気象. II-8. 65-68 (1999)
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[Publications] 鈴木義則: "屋根面敷設保水性セラミックの熱負荷低減効果"農気・生還・施設三学会1999合同大会講演要旨. 1999. 490-491 (1999)
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[Publications] 鈴木義則: "都心に有る植栽ビルの暑熱緩和について"九州の農業気象. II-8. 69-70 (1999)
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[Publications] 鈴木義則: "Experimental study on the thermal relaxation effect of water-retentive ceramic tyles.(2) Surface pavement experiment"Intl.Symp. on Human Biometeorology. 1999. 169-174 (1999)