1999 Fiscal Year Annual Research Report
対掌体に対する酵素活性及び活性部位の比較に基づくホモキラリティーの起原の検討
Project/Area Number |
10680560
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島田 秋彦 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (90235614)
|
Keywords | トリプトファナーゼ / ホモキラリティーの起原 / D-トリプトファン / リン酸水素2アンモニウム |
Research Abstract |
トリプトファナーゼにおけるD-トリプトファンに対する活性部位とL-トリプトファンに対する活性部位との位置関係を決定するため,年度当初の研究実施計画にあるようにL-トリプファンの分解反応には影響しないがD-トリプトファンには競争的阻害をする阻害剤を見つけることを目指した。しかし,そのような阻害剤は本年度中に見つけることができなかった。しかしながら,前年度から今年度にかけてピルビン酸カリウム,インドールピルビン酸をトリプトファナーゼの阻害剤として用いた実験や 線照射したトリプトファナーゼ標品から得られたデータに基づいてD体とL体に対する活性部位の関係を明らかにすることができた。すなわち,リン酸水素2アンモニウムによるトリプトファナーゼの構造変化でD-トリプトファンのヘテロサイクリック部分の結合部位はL-トリプトファンのそれとは異なる位置で結合する。その位置はD-トリプトファンにとってトリプトファナーゼの触媒部位とちょうどうまく接触できるような角度にあると考えられる。その結果,D-トリプトファンは活性になるのであろうと思われる。このことからいままで酵素の立体選択性は厳格であると考えられてきたけれども,必ずしもそうとはいえず酵素周囲の環境の変化によってそれは変わりうるものだということがわかった。すると次に重要になってくるのが酵素にどのような構造変化を与えればキラリティーの選択性に影響を与えることができるのかということである。今後は,本研究成果に引き続いてこの構造変化を定量的に調べたい。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 島田秋彦: "Wobbly Stereospecificity of tryptophanase in highly concentrated salt solution and its significance forchiral homoseueity"Origin of Life and Evolution of the Biosphere. (印刷中).
-
[Publications] 島田秋彦: "Actiue site of tryptophanase for D-tryptophan degradation"Amino Acids. 17. 97-97 (1999)
-
[Publications] 島田秋彦: "Metyl α-D-mannopyranoside-responsive release of microencapsulated glucoamylase"Journal of Bioscience and Bioengineering. 87. 551-553 (1999)
-
[Publications] 島田秋彦: "Tryprophanase-catalyzed D-tryptophan degradation reaction and its significance for chiral homogeneity"教と大学学術出版会. 367 (2000)