2000 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外マトリックスのバックボーンとなっているヒアルロン酸の量的・質的コントロール
Project/Area Number |
10680577
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中村 敏也 弘前大学, 医学部, 助教授 (00155847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高垣 啓一 弘前大学, 医学部, 助教授 (70163160)
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Keywords | ヒアルロン酸 / ヒアルロン酸低分子化酵素 / 細胞外マトリックス / ヘパラン硫酸 / ヘパリチナーゼ / マトリックスメタロプロテアーゼ / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
(1)細胞表面のヘパラン硫酸がヒアルロン酸代謝に及ぼす影響 これまで、ヒアルロン酸を分子量4万のフラグメントに低分子化するヒアルロン酸低分子化酵素がおそらく細胞表面に存在すること、そして、その活性が細胞表面ヘパラン硫酸により抑制されることが知られた。一方、ヒアルロン酸合成酵素も細胞膜上に存在しているため、ヒアルロン酸合成への細胞表面ヘパラン硫酸の影響を検討した。ヘパリチナーゼ添加または非添加の培地中で[^3H]グルコサミン存在下に線維芽細胞を培養し、培地に分泌されたヒアルロン酸を比較した。その結果、各々の分泌量には大きな差は認められなかったものの、ヒアルロン酸のサイズはヘパリチナーゼの濃度に依存して小さくなった。このことは、細胞表面のヘパラン硫酸がヒアルロン酸の低分子化だけでなく、その合成にも影響を与えている可能性を示唆した。 (2)分子量の異なるヒアルロン酸のストロムライシン-1(MMP-3)活性への影響 昨年度はヒアルロン酸低分子化酵素などによりヒアルロン酸の分子量が変化することで、ヒアルロン酸がマトリックスメタロプロテアーゼ(以下MMP)活性の調節を行っている可能性が、ザイモグラフィー等を用いた分析により示された。そこで今年度は、このヒアルロン酸により影響を受けるMMPについてさらに検討した。線維芽細胞を、種々の分子量(120万〜4万)および濃度(10μg/ml〜2mg/ml)のヒアルロン酸を含む無血清培地で培養した後、培地中のMMP活性をゼラチンまたはカゼインを基質としたザイモグラフィーにより検討した。その結果、特に高分子のヒアルロン酸により分子量47kのMMP産生量が抑制されることが知られた。この抑制は、ヒアルロン酸濃度1mg/ml以上の高濃度で観察され、ウェスタンブロットの結果、このMMPはストロムライシン-1(MMP-3)と同定された。
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[Publications] Toshiya Nakamura, et al.: "Effects of hyaluronan on matrix metalloproteinase activities in skin fibroblasts"Proceeding of "4th Hirosaki International Forum of Medical Science, New Development in Glycomedicine". ICS1223(in press). (2001)