1999 Fiscal Year Annual Research Report
カドヘリン活性化に必要なα-カテニン機能領域の同定とその結合分子のクローニング
Project/Area Number |
10680586
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小澤 政之 鹿児島大学, 医学部, 教授 (90136854)
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Keywords | 細胞接着分子 / カドヘリン / 細胞質ドメイン / α-カテニン / アクチン / α-アクチニン / ビンキュリン / キメラ |
Research Abstract |
本研究は、カドヘリンの機能発現に必須な成分であるα-カテニンのどの領域がとのような機能をしているのかを明らかにすることを目的とした。機能領域の同定のためには2つのアプローチを用いた。すなわち、1)E-カドヘリンとのキメラ分子を作製し、これを研究代表者らが開発したK562白血病細胞を用いた細胞接着系で発現して、β-カテニン非依存的にその活性を測定する。2)α-カテニン遺伝子に変異が起こりα-カテニンを発現できなくなった細胞(DLD1/Δα)に一連の欠失変異を導入したα-カテニンを発現させ、β-カテニン依存性の活性を測定するというものである。当該年度の研究の結果、次の点が明らかになった。1)キメラ分子を用いた実験から、α-カテニンのカルボキシ末端側295アミノ酸残基(612-909)があればE-カドヘリンの細胞接着活性発現に十分であることが判明した。2)DLD1/Δα細胞にα-カテニンのβ-カテニン結合部位(1-202)と1)の実験で同定された領域(612-906)からなる変異α-カテニン(203-611を欠失させた分子)を発現させたところ、E-カドヘリンの活性が現れ、細胞のコンパクションが観察された。以上の結果は、α-カテニンの機能領域のうち、カドヘリンの接着活性発現には、β-カテニン結合部位以外に、カルボキシ末端の295アミノ酸残基があれば十分であることを示している。すなわち、α-カテニン分子のほぼ中央部に存在するα-アクチニン結合部位(325-394)あるいはビンキュリン結合部位(326-509)はなくてもカドヘリンの機能には影響しない。したがって、これらの分子との相互作用は、カドヘリンが接着分子として機能する際になくてもよいということになる。その後の研究でこのカルボキシ末端の領域(612-906)にはアクチン結合部位(671-906)が存在することが判明している。
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[Publications] Ohkubo,T.: "p120^<etn> binds to the membrane-proximal region of the E-cadherin cytoplasmic domain and is involved in modulation of adhesion activity"J.Biol.Chem.. 274・30. 21409-21415 (1999)
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[Publications] Shimono,R.: "The expression of cadherins in human neuroblastoma cell lines and clinical tumors"Anticancer Res.. 20・2(in press). (2000)