2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680661
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小林 浩士 千葉大学, 理学部, 教授 (40011572)
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Keywords | ラット / 毛包形成 / 幹細胞 / 毛母細胞 / 毛乳頭 / 培養表皮 / 遺伝的標識 / β-ガラクトシダーゼ |
Research Abstract |
最近、毛包幹細胞は表皮および毛包形成に与る全能的な幹細胞であり、毛の成長周期に伴いバルジ域から毛球に移動して毛母細胞となり、毛球の再構築と毛の産生にかかわることが明らかにされた。しかし、(1)表皮の幹細胞がどのようにして毛包幹細胞になるのか、(2)毛包幹細胞が毛周期に伴い毛母前駆細胞としてどのような動態を示すのか、は明らかにされていない。(1)に関しては、β-ガラクトシダーゼ遺伝子を導入したレトロウイルスを培養表皮細胞に感染させて遺伝的に標識し、in vitroで多層化させた。基底層から角質層にいたる、いわゆる上皮増殖単位に標識がみられたことから、表皮幹細胞が標識されたと判断した。次に、幹細胞標識培養表皮を移植して表皮を再生させたところ、標識は有棘層以上の分化層に発現していたが基底層にはみられなかった。その原因を検討した結果、基底層では導入遺伝子の発現抑制が起こっていることがわかった。移植後10週以上では基底層でも発現が見られるようになるとの報告があることから、今後は標識の発現が基底層でも見られるようになった再生表皮と毛乳頭を結合して再移植し、誘導された毛包の標識を手がかりに毛包幹細胞の分布を調べる予定である。(2)に関しては、毛周期各期から種々の長さの毛球部のみを切り出して移植し、それらの毛球再構築パターンから毛母前駆細胞の移動状況を推測した。その結果、幹細胞はバルジ域から毛周期を通して絶えず毛球に送られて毛母前駆細胞になるのではなく、成長期後期から移行期後期にかけては幹細胞が送られない時期が介在することが強く示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Oshima, H., Rochat, A., Kedgia, C., Kobayashi, K., Barrandou, Y.: "Morphogenesis and renewal of hair follicles from multipotent adult stem cells"Cell. 104. 233-245 (2001)
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[Publications] Osada, A., Kobayashi, K.: "Characterigation of ceibrissa germinative cells:transition of cell types"Exp.Dermatol.. 10. 430-437 (2001)
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[Publications] Xing, L., Kobayashi, K.: "Ability of transplanted cultured epithelium to respond to dermal papillae"Tissue Engineering. 7. 535-544 (2001)
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[Publications] 小林浩士: "実験医学19巻15号(増刊)幹細胞研究の最前線と再生医療への応用(岡野、横田編)"羊土社. 224 (2001)