1999 Fiscal Year Annual Research Report
運動学習におけるGluRδ2サブユニットの機能解析
Project/Area Number |
10680716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 寿 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00239617)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / GluRδ2サブユニット / 運動学習 / 瞬目反射条件付け / 小脳プルキニエ細胞 / 小脳顆粒細胞 / Creリコンビナーゼ |
Research Abstract |
グルタミン酸受容体チャネルGluRδ2サブユニットのノックアウトマウスは平行線維―プルキニエ細胞シナプスの長期抑圧を欠損している。GluRδ2が小脳プルキニエ細胞に特異的に発現することから、プルキニエ細胞特異的ノックアウトマウスとしてGluRδ2欠失マウスは運動学習における小脳皮質の機能を解析する最適の動物モデルである。本研究では、音(条件刺激、CS)と電気刺激(非条件刺激、US)を用いた瞬目反射条件付けを行いGluRδ2欠失マウスの運動学習機能を解析した。その結果GluRδ2欠失マウスはCSとUSを同時に与えるdelay paradigmにおいて、条件反射の獲得に顕著な障害を示した。一方、CSとUSに時間差をつけて与えるtrace paradigmにおいてGluRδ2欠失マウスは野生型マウスと同様に学習することが出来た。すなわち、小脳皮質の平行線維―プルキニエ細胞シナプスの長期抑圧は同時入力の連合学習に必須であるが、時間差のある二つの入力の連合学習には必ずしも必要ではないことが示された。以上の結果から、小脳長期抑圧の運動学習への関与は、学習パラダイムに依存すると結論された。また、小脳が関わる記憶・学習の分子機構の解明を目的として、特定の細胞において任意の時期に遺伝子欠損を引き起こすために、遺伝子組み換え酵素Creとプロゲステロンレセプターとの融合蛋白遺伝子(CrePR)をGluRε3サブユニット遺伝子の5'領域に接続した発現ベクターを構築し、トランスジェニックマウスを作成した。このマウスに合成アンチプロゲステロンを投与し小脳顆粒細胞特異的にCre活性を誘導することができた。従って、このマウスを用いた誘導型遺伝子ノックアウト法は小脳運動学習の分子機構を解明する有効な手段となる。
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Research Products
(1 results)