1998 Fiscal Year Annual Research Report
セルフ・コントロールにおける抑制的アプローチと積極的アプローチ
Project/Area Number |
10710049
|
Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
大河内 弘子 (杉若 弘子) 奈良教育大学, 教育学部, 文部教官助教授 (90257171)
|
Keywords | セルフ・コントロール / 積極的アプローチ / 抑制的アプローチ |
Research Abstract |
1. 研究1 改良型セルフ・コントロールにおける2方向からのアプローチ 改良型セルフ・コントロール(以下、改良型SC)には、目標を達成するまでの期間に特定の行動を抑制するアプローチと望ましい行動を大いに実行する積極的アプローチが存在することを明らかにするための調査を行った。被験者は、大学生89名(男性29名、女性60名)であった。用紙中央に改良型SCが必要となる10通りの行動目標(例:単位取得、健康維持)を提示し、各目標の右側にはそれを達成するための積極的アプローチを、左側には抑制的アプローチを記入させた。その結果、すべての行動目標で両方向からのアプローチが報告され、改良型SCには2つのアプローチが存在することが実証された。 2. 研究2改良型セルフ・コントロールに及ぼす行動期間と目標達成確率の影響 改良型SCの2つのアプローチに及ぼす行動期間と目標達成確率の影響を検討した。被験者は、改良型SCの行動レパートリーが多い者(n=28)と少ない者(n=29)計57名であった(スクリーニング対象者:299名(男性125名、女性174名))。試験準備期間とダイエットを背景場面とし、場面別に、目標達成するための2つのアプローチ(試験準備期間では余暇・睡眠時間の制限と試験勉強、ダイエットでは食事制限と運動)をどの程度確実に実行できるかを評定させた。目標達成確率は、100%、70%、50%、30%、1%の5水準、行動期間はアプローチ内容に合わせた5水準を設定した。その結果、行動期間の長期化と目標達成確率の低下は、2つのアプローチの実行度を低下させるよう相乗的に作用することが明らかになった。さらに、この傾向は抑制的アプローチにおいてより顕著であった。改良型SCでは、積極的アプローチを先行させた方が有効であるといえよう。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 杉若弘子: "セルフ・コントロールにおける″する″行動と″しない″行動" 奈良教育大学紀要. 47(1). 209-214 (1998)
-
[Publications] SUGIWAKA,HIROKO: "The repressive and the active approaches on self-control" World Congress of Behaviaral & Cognitive Therapies ′98. 260 (1998)
-
[Publications] 杉若弘子: "セルフ・コントロールにおける遅延期間と積極的行動" 日本心理学会第62回大会発表論文集. 1035 (1998)
-
[Publications] 杉若弘子: "セルフ・コントロールにおける抑制的アプローチと積極的アプローチ" 日本行動療法学会第24回大会発表論文集. 134-135 (1998)