1998 Fiscal Year Annual Research Report
女性のライフコース形成に関する長期的パネル研究-女子学生ライフコース展望調査-
Project/Area Number |
10710097
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
村松 幹子 日本女子大学, 人間社会学部, 助手 (90230010)
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Keywords | ライフコース形成 / 女子学生 / 就職 / パネル研究 |
Research Abstract |
本研究は,女性のライフコース形成のメカニズムを把握することを目的とした,長期的パネル研究の一環である。本年度(1998年8月)には,女子学生3年生とその父母を対象として,第1時点調査を実施した。その結果,就職活動開始以前における女子学生の将来展望と,その父母の娘に対する希望等について知見を得ている。 女子学生の約8割が大学卒業後に正社員・正職員として就職を希望している。その理由としては,「経済的自立」「生きがいを得るため」が上位を占めている。就職情報は,大学の就職担当部署,メディアが重視されており,父母から情報を得る者は少ない。ただし「出産・結婚と就業継続について」だけは,母親の意見を参考にする者が多い。 仕事観としては,給与や企業規模よりも仕事のやりがいを重視している一方,仕事よりも自由時間や家庭生活を充実させたいと回答している者が多い。さらに,仕事を続けながら出産・育児よりも育児後再参入を望む者の方が多い。また,女子学生の仕事と家庭生活の関係は,外的な条件に依存する事が予測できる。例えば,親と同居する場合には勤続を選択し,結婚相手の条件(高収入転勤,仕事への反対)によっては,退職を選択する者が多い。また「本当にやりたい仕事が何かわからない」者が相当数存在していることも注目に値する。 女子学生とその両親の希望は,単純集計結果を見る限り,同様の傾向を示している。ただし,親の意識では,娘の仕事に高い期待と理解が示されている一方,一般的な価値観では「女性は家庭,子育ては母親」といった伝統的性別役割分業観をもつ傾向があり,2つの意見の間にギャップがみられる。とくに父親にこの傾向が強い。 今後はこれらの結果をより詳細に検討し,第2時点調査につなげていきたい。来年度は女子学生の就職活動後に調査を実施し,就職活動の結果や,仕事と家庭の関わりについての意識等の変化を明らかにする予定である。
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