1998 Fiscal Year Annual Research Report
地方都市における「市民派」の活動とその社会意識に関する研究
Project/Area Number |
10710104
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
市川 正彦 松山大学, 人文学部, 助教授 (30268734)
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Keywords | 市民派 / 女性議員 / 地方議会 / 環境運動 / 市民運動 |
Research Abstract |
いわゆる「市民派」議員やそれをささえる市民運動グループは、大都市近郊におおく存在し、その研究も首都圏の事例にかたよっていた。今回、保守的な政治風土が根づよく存在する地方(愛媛県)においての「市民派」の活動を、とくに女性候補・女性議員に焦点をあてて研究することにした。本年度の研究としては、すでに愛媛の地方議会に議席をえている「市民派」の女性議員に、それまでの活動内容や立候補にいたる経緯、選挙運動や議会活動の実際について聞き取り調査をおこなった。その一方で、愛媛県全体の地方議員の特質を把握するために、全市町村会議員(1226名)を対象にしたアンケート調査を並行しておこなった。調査方法は郵送法で、10月下旬に発送し、11月末までかけて回収した。その結果、694名の議員からの回答がえられ、回収率は56.6%であった。愛媛県の地方議員の社会的背景は、農村県という地域事情を色濃く反映した結果となっている。年齢的には、20代・30代の議員がきわめてすくなく、40代後半以上の議員が大半を占める。職業的には、一般住民の職業構成とくらべて、あきらかに農林漁業・自営業層がおおく、いわゆる「旧中間層の過剰代表」という状態に議会があることを示唆している。したがって、議員専業の人は少なく、回答者の半数以上が議員以外の仕事に5割以上の時間を費やしていると答えている。このように兼業議員が多いため、議員歳費の額に対する不満はすくなくなっている。議員は平均して47才で立候補し、現在住んでいる場所に通算して平均で51年間居住している。こうした保守的・農村的特色の色濃い地域で、主として環境保護運動を中心とした市民運動のネットワークによって、次の県議選に挑戦しようとしている女性の市民運動かがいる。現在は、その活動に参与観察の手法でアプローチしている最中である。
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