1998 Fiscal Year Annual Research Report
台湾総督府が編纂した「日台大辞典」と「新訂日台大辞典」の比較研究
Project/Area Number |
10710218
|
Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
王 順隆 文教大学, 文学部, 講師 (80296235)
|
Keywords | 台湾総督府 / 日台大辞典 / 台湾語 |
Research Abstract |
本研究は小川尚義を編集長とする台湾総督府学務課編纂チームが30年を隔てて編纂した《日台大辞典》と《新訂日台大辞典》に挙げられている常用語彙を取り上げ、それぞれの対訳台湾語の語彙を整理し、分析したものである。同一の日本語見出し語で二冊の辞書の台湾語訳語にどのような変化があったのか、意識的に修訂した意図は何であろうかを探ってみた。 結果として、領台初期に比べて、末期の台湾総督府が台湾語に対する知識は各方面において現れた。新訂版の辞書に収録語彙の大幅増のみならず、語意の改訂、語源の判明、語彙の使用頻度、発音の確認、方言訛りの区別などなど、いずれも著しい進歩が見えた。この結果を見れば、当時台湾総督府は長年の調査と研究によって、台湾語を完全に把握していたと言えよう。残念なことに、太平洋戦争のために《新訂日台大辞典》の下巻はとうとう出版されることはなかったのようだが、この成果を上回る台湾語辞書は今日になってもまだ出現していない。 本研究の初歩的成果は1998年5月31日に、台湾新竹師範学院で開催された「台湾語言及其教学国際研討会」にて発表された。なお、この論文の全文もインターネットを通じて公開している。(www.sainet.or.jp/〜zhongwen/lunwenll.htm)
|