1998 Fiscal Year Annual Research Report
中国発行の朝鮮語新聞にみる中国朝鮮語の語彙論的研究
Project/Area Number |
10710245
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 晃次 大阪大学, 言語文化部, 講師 (90291450)
|
Keywords | 言語政策 / 言語接触 / 規範語 / 朝鮮族 / 延辺 / 朝鮮語新聞 / 朝鮮文化語 / 分断国家 |
Research Abstract |
中国における朝鮮語に対する言語政策史について、従来の研究を補い、明確かつ体系的な記述を図るため、これまで中国の朝鮮語言語政策に影響を与えてきた朝鮮民主主義人民共和国の言語政策史を検討した。『朝鮮語文』他の代表的言語学・朝鮮語学専門誌に加え、より初期の『朝鮮語研究』の一部や従来未見の文献をも対象とし、そこに見られる言語政策に対する言説をたどった。しかし、本年度後半になり、本研究にとって重要な意味を持つ『チュチェの朝鮮語研究50年史』(金日成綜合大学朝鮮語文学部刊・1996年)が国内にもたらされ、再検討を行っている。また、『中国朝鮮語文』のバックナンバーなどにより中国の朝鮮語言語政策史に関してもより綿密な記述を図っている。 さらに、中国の4大朝鮮語新聞(『吉林新聞』・『延辺日報』・『黒龍江新聞』・『遼寧朝鮮文報』)を資料として、語彙収集の予備的調査を行い、非規範的語彙の散見・規範のゆれ・各新聞の傾向等を把握した。また、紙面によっては漢語の混在が広く行われていることが判明し、朝鮮語の文中における漢字表記のありかたの問題を含めての検討も必要であること、また、外来語を中心に大韓民国の朝鮮語の影響が予想以上に大きく現れていることがわかった。 次年度にはデータ処理の機械化による収集資料の大量分析を図り、特徴的語彙のデータベース化を進め、それに基づき南北朝鮮の規範語・中国の規範語を基準とするふたつの視点から、実際に現れたあるがままの中国朝鮮語の語彙に対する理論的分析を行う。また、文化大革命時期の一部朝鮮語文献に対する考察を参考としながら分析を進める。さらに、他の分断国家語の状況にも言及したい。
|