1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10720016
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西谷 裕子 東北大学, 法学部, 助教授 (30301047)
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Keywords | 国際私法 / 当事者自治 / 強行法規の特別連結 / 法例 / 当事者自治の制限 |
Research Abstract |
今年度においては、当事者自治の原則の生成・発展に関する歴史研究を進めると同時に、本原則が今日の国際私法において果たす役割を探るため、現代国際私法の問題として生じてきたその当事者自治の原則の制限法理についても研究した。それは、特に金融・経済法のように国家の経済政策の実現のため、あるいは労働法・消費者保護法のように弱者の権利保護のため、準拠法の決定をもはや当事者の自由に委ねていたのでは対処できず、ために一定の制限法理を国際私法において導入する必要があるとかねてから指摘されてきた分野である。わが国の従来の学説において、強行法規の特別連結理論あるいは国家管轄権の問題として様々に論じられてきたものの、いまだ定説と呼ぶべきものもなく、更なる議論の積み重ねが必要であると考えられる。そこで、本年度の研究においては、従来のわが国の裁判例・学説の整理をし、ドイツ法上の議論と対比させながら、わが国法例の解釈論としてどこまで踏み込むことができるのか検討した。その成果は、Yuko Nishitani,Das internationale Arbeitsvertragsrecht in JapanとしてRecht in Japanにまもなく発表される予定である。来年度においては、当事者自治の原則の歴史的発展過程をたどることによってその理論的根拠を探るという作業を進めつつ、ドイツ、イタリア及びスイスにおける議論を検討対象として比較法に重点を移し、わが国の解釈論ひいては来るべき法例改正を射程に入れた研究を行う予定である。
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Research Products
(1 results)