1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本型相互扶助システムとしての消防団・町内会・納税組合等についての実態研究
Project/Area Number |
10730045
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
小西 砂千夫 関西学院大学, 産業研究所, 教授 (10205429)
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Keywords | 消防団 / 自治会 / 町内会 / 納税組合 / 納税貯蓄組合 / 日本型社会組織 / ボランティア / NPO |
Research Abstract |
第2次世界大戦後、町内会はGHQから戦争推進の組織として、占領期には解散させられたが、実態としては自主的な住民組織として少なくとも根の部分では残った。現代の自治会は、阪神・淡路大震災の際にも地域の復興計画の作成の主体となることが期待されるなど、期待される役割はこれからも大きい。 逆に消防団は、防災組織として必要不可欠なものとGHQが判断することで戦後も生き残り、消防組織法が昭和23年に発効することによって法的にも存在理由が明らかにされた。行政組織の一部として位置づけが与えられたことで、公的組織であるとの意識が一般化した。にもかかわらず、常備消防に代替すべきという考え方も現場では次第に強くなってきている。 当初、消防団の方が自治会よりもその意義が評価され、法的にも恵まれた位置づけをされてきた。しかし現代においてはボランティアリズムで意味づけされた自治会が活性化しているのに対して、「公」で意味づけされた消防団に勢いがなくなってきているのはきわめて興味深いことである。防災の面では、消防団にあわせて、まさしく自治会活動の延長にある「自主防災組織」を充実させる方向に転じていることもその点を暗示している。消防団活性化の鍵もそのあたりにあるように思われる。 納税組合(あるいは納税貯蓄組合)は、かつては徴税機構として機能していたが、現在では縮小方向にあり、新規組合についても制限されている。しかし農村部では固定資産税の徴収などでは機能している。本来プライバシーを守る対象となる納税事務に自治組織が機能するというところに、日本型社会の本質がある。その点をさらに掘り下げて研究していきたい。
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Research Products
(1 results)