1998 Fiscal Year Annual Research Report
株価形成過程におけるキャッシュ・フロー情報の有用性
Project/Area Number |
10730064
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
百合草 裕康 三重大学, 人文学部, 助教授 (90240176)
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Keywords | キャッシュ・フロー / 資金収支 / 株価形成過程 / 有用性 / 回帰モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、情報利用者が投資・与信意思決定を行うにあたってそれに当該意-思決定にともなうリターンとリスクの評価にキャッシュ・フロー情報が役立つのか否かについて、実証的証拠にもとづいて分析することにある。平成10年度は、主な研究内容は以下のとおりである。 (1) 2000年3月決算期からわが国の証券市場で資金調達を行う企業に対して導入される連結ベースのキャッシュ・フロー計算書が、日本企業の経営のあり方にどのような影響を及ぼすかについて検討し、今後キャッシュ・フローの面からの企業評価が厳しくなる可能性があることを明らかにした。 (2) アメリカの証券市場を通じて連結キャッシュ・フロー計算書を公表している日本企業を分析対象として、株価リターンと連結キャッシュ・フロー情報の関連性について分析し、営業活動からのキャッシュ・フローの測定値が投資意思決定に関連していることを示唆する分析結果を提示した。 (3) 日経平均採用企業の資金収支表から得られるデータを用いて、個別ベースのキャッシュ・フローが株価形成過程において機能しているかどうかを分析した結果、個別ベースのキャッシュ・フロー情報が一定の有用性を備えた情報であること、業種によって有用性の程度が異なることを示めす分析結果が得られた。 (4) アメリカおよび日本以外の主要な国際資本市場を有するイギリスにおいて、どの程度キャッシュ・フロー情報が投資意思決定情報として機能しているのかを検討した。その結果、国際的な比較可能性が高いと考えられているキャッシュ・フロー情報の有用性の程度は、国によって相当異なることがありうることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 百合草 裕康: "経営におけるキャッシュ・フロー計算書制度化の影響" 企業会計. 50・8. 54-59 (1998)
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[Publications] 百合草 裕康: "連結キャッシュ・フロー情報の有用性" 會計. 154・4. 76-90 (1998)
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[Publications] 百合草 裕康: "資金収支表の有用性" 商学論究. 46・2. 161-179 (1998)
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[Publications] 百合草 裕康: "キャッシュ・フロー情報の有用性-イギリスにおける検証-" 税経通信. 54・1. 228-236 (1999)