1998 Fiscal Year Annual Research Report
非線型波動の挙動に及ぼすポテンシャルの影響について
Project/Area Number |
10740062
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田谷 公利 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60250411)
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Keywords | 非線型波動方程式 / ポテンシャル / 大域的存在 / 解の爆発 / 漸近挙動 |
Research Abstract |
本研究の目的はポテンシャルのついた非線型波動方程式の解を調べ,ポテンシャルが解に及ぼす影響についてその数学的仕組みを解明することである.空間3次元についてはStrauss氏との共同研究によっていくつかの興味深い結果が示されている.そこで本年度は空間2次元における初期値問題について非線型項が未知関数それ自身にのみ依存する場合を考察している. まずこれまでに分かったことは,解の爆発に関しては空間3次元の場合と同じ結果が成り立つということである.これはポテンシャルが負であることを仮定しているが,次の4つの条件のうちいずれかが成り立てば方程式の解が有限時間内で爆発してしまうというものである.1)非線型項のべきかある値より小さい場合.2)初期値の無限遠方での減衰の仕方がある値より大きい場合(この値は非線型項のべき数にのみ依存する).3)ポテンシャルの無限遠方での減衰の仕方がある値より大きい場合.4)ポテンシャルが大きい場合.3)の値は空間3次元と同じで,このことから他の次元においてもこれが臨界値となることが予想される.次元解析によってもこの値は見つけられる.次に時間大域解の存在については,大域的存在を示すのに必要な先験的評価式を計算しているところである.重みのついたノルムを用いるのだが空間3次元と異なる点は,時空の領域によって重み関数を変えていかなければならないことである.まだ確かではないがポテンシャルの影響がこの辺のところに現れているのではないかと考えている.大域的存在を示した後は非線型項が未知関数の一階偏導関数にのみ依存する場合を考察していく予定である.
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