1998 Fiscal Year Annual Research Report
超低速拡大海嶺のマグマの成因:南西インド洋海嶺のカンラン石玄武岩の初生マグマ
Project/Area Number |
10740250
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
太幡 芳彦 金沢大学, 理学部, 助手 (40293336)
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Keywords | 中央海嶺 / 島弧 / カンラン石 / マグマ / 非平衡 / 骸晶組織 / 過冷却 / 岩石学 |
Research Abstract |
平成10年度に交付された補助金によって偏光顕微鏡・ニコンOPTIPHOT2-POLを購入し、詳細な薄片観察をおこなった。それによって新たな知見が得られた。1.研究目的、研究計画・方法のところで述べたように、同じ火山から噴出した溶岩でも、ある溶岩のカンラン石はその溶岩(マグマ)と化学的に平衡であるが、別の溶岩のカンラン石はそのマグマとは化学的に非平衡である。大山火山、ベトナムの台地玄武岩、南西インド洋海嶺の玄武岩の全岩の化学組成、斑晶としてはいっているカンラン石の化学組成、そのカンラン石の外形を詳細に検討したところ、非常におもしろい結果が得られた。マグマと平衡に共存しているカンラン石の外形は、自形もしくは半自形であるが、マグマと非平衡なカンラン石は骸晶状を呈する。つまり外形はその鉱物本来の形になろうとしているのだが、内部はスカスカでまるで骸骨の一部を見ているようである。この形状および非平衡な化学組成は、まさにマグマの過冷却によるカンラン石の急速成長の結果である。この成果は、現在Joumal of Petrologyに、Basalts from Daisen volcano,Japan:fractional crystallization versus supercooling of primary magmaという標題が投稿中である。2.南西インド洋海嶺では1つの地点でドレッジされた岩石から異なる2種類の初生マグマが導きだされた。このことは中央海嶺のマグマの成因に関して新しい発見であるが、現在さらに膨大な試料を観察、測定中である。途中経過は地球惑星科学関連学会1998年合同大会(5月、東京)において発表した。また、二つの知見を合わせたものは、米国地球物理学会(AGU)の1998年fall Meeting(12月、San Francisco)において発表した。
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