1999 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物の薄膜成長およびその物性と電子状態の評価
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10740280
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大嶋 江利子 理化学研究所, 表面化学研究室, 基礎科学特別研究員 (30300859)
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Keywords | レーザーアブレーション / 遷移金属酸化物薄膜 / ペロブスカイト型 / 高圧合成相 / BiMnO_3 / 強磁性 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に起ち上げたレーザーアブレーション法による成膜装置を用いて、遷移金属酸化物薄膜の作製を行った。試料には、ペロブスカイト型遷移金属酸化物BiMnO_3を選んだ。 ペロブスカイト型BiMnO_3は、高温高圧下で焼結することで得られ、強磁性を示すことが知られている。反強磁性体LaMnO_3との比較の観点から輿味深い物質であるが、高圧合成相であるため、物性測定に適した単結晶や、光学測定に充分な大きさの試料を得ることが困難であった。 本年度は、高庄合成でのみ得られていたこの物質を、酸素ガス圧および基板温度を制御することで、SrTiO_3単結晶基板上に、薄膜として得ることに成功した。レーザーにはAr-Fエキシマレーザー(波長193nm)を使用した。SQUIDによる磁化率測定から、得られた薄膜は、高圧合成で得られたバルクと同様の転移温度105Kの強磁性体であり、Mn原子あたりの磁気モーメントは膜厚増加に伴って増加することがわかった。また、巨大磁気抵抗効果を示す(La,Sr)MnO_3と同程度のキャリア導入が期待される、(Bi,Sr)MnO_3薄膜も得られた。 薄膜化にあたって配向が制御され、比較的広い面積の試料が得られたことから、光学測定による電子状態の評価が可能になった。
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