1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740292
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
宮武 滝太 富山大学, 工学部, 助手 (30281017)
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Keywords | ジピリルメテン / 有機ホウ素化合物 / 蛍光プローブ / トリフラート |
Research Abstract |
ジピリルメテン-ボラン錯体は蛍光プローブとして有用であり、各種誘導体が市販されている。しかしながら、従来の合成法ではホウ素の導入を塩基存在下、フッ化ホウ素エーテル錯体との反応により行うため、置換基の導入は炭素骨格部位に限定されていた。そこで本研究では、従来の合成法とは異なる方法として、(1)ホウ素上にフッ素以外の置換基を導入する、(2)メチン部位に種々の置換基を導入するための脱離基を導入する、ための条件検討をそれぞれ行った。 ホウ素の置換基としてブロモ、エチル、あるいはエトキシ基を導入する反応を行った。ジピリルメテン塩酸塩に対し2当量のブチルリチウムを作用させてアニオン種を発生させ、種々のホウ素化合物と反応させた。この結果、スペクトルデータに基づき構造の確認を行ったが、単離精製には至っていない。 メチン部位への置換基の導入法として、従来塩化ベンゾイル誘導体を用いてジピロメタン骨格を合成し、脱水素反応-ホウ素導入により錯体を得る方法が用いられてきた。本研究ではメチン部位に優れた脱離基であるトリフラートを導入し、カップリング反応を用いて種々の置換基を導入する方針をとった。そこで今回、前駆体であるジピリルケトンの合成法を改良し、トリフラートヘの誘導を試みた。 ケトンの合成法として、ピロールとホスゲンあるいはチオホスゲンとの反応が従来行われてきた。今回開発した方法では、まずピロールに臭素を導入し、次いでアニオン種をin situで発生させてカルバミン酸エステルとの反応を行い、高収率でジピリルケトンを得た。ジピリルケトンとトリフルオロメタンスルホン酸無水物との反応を各種溶媒中において行ったところ、何れの条件においても原料の消失は確認されたが、目的とするトリフラートの生成は認められず、タール状物質が得られた。酸による重合と考えられるため、適当な塩基により錯体の合成は達成できるものと考えられる。
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