1998 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質を基盤としたバイオミネラル形成機構の解明
Project/Area Number |
10740386
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
宮本 裕史 近畿大学, 生物理工学部, 助手 (20271413)
|
Keywords | バイオミネラル / アコヤガイ / 炭酸脱水酵素 / ナクレイン |
Research Abstract |
貝殻中には微量のタンパク質が存在しており、それが貝殻の炭酸カルシウムの結晶形を左右することが知られている。先に、私は、アコヤガイ貝殻の真珠層中に豊富に含まれるナクレインタンパク質を同定し、そのcDNA解析からナクレインタンパク質が炭酸脱水酵素との相同性を有することを明らかにした。本研究では、ナクレイン以外にアコヤガイ貝殻中に存在してその炭酸カルシウム結晶形成を制御する蛋白質を同定する目的で、ナクレインタンパク質と炭酸脱水酵素との相同領域に対応するオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、新規の貝殻タンパク質のcDNAの単離を試みた。方法としては、アコヤガイ外套膜由来RNAをオリゴdT・プライマーで逆転写後、ミックスプライマーによるPCRを行った。単離された250bp、のPCR産物は新規の遺伝子であることがわかったため、これをプローブとして全長cDNAを外套膜cDNA ライブラリーからクローニングした。塩基配列を決定したところ、このcDNAは、哺乳類の炭酸脱水酵素タイプ8と最も相同性が高かった。ヒトおよびマウスの炭酸脱水酵素タイプ8はN末端にグルタミン酸に富んだ酸性領域が存在するが、今回アコヤガイから単離したcDNAから予想されるアミノ酸配列中には、そめような酸性領域は見られなかった。炭酸脱水酵素タイプ8はもともと小脳のプルキンエ細胞で発現するタイプの炭酸脱水酵素として単離されたが、発生段階で特異的に発現することから、発生過程での役割に興味が持たれている。炭酸脱水酵素タイプ8相同遺伝子のアコヤガイでの貝殻形成にどのような役割を担っているのか、今後の課題である。
|
Research Products
(1 results)