1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
末岡 和久 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60250479)
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Keywords | MFM / スピン渦 / 磁区 |
Research Abstract |
本研究では、磁区構造の一つであるスピン渦状態を磁気記録へ応用するための基礎研究である。本年度は、マイクロ・マグネティックスによる磁区構造解析手法の検討、LLG方程式に基づく磁区構シミュレーションの検討、プロローブ顕微鏡を用いた磁気マウンド作製方法方法の検討、スピン偏極走査型電子顕微鏡の準備を行った。 マイクロ・マグネティックスによる解析では、スピン渦状態に対する解析解を得ることができ、これまでに報告されている微細磁性体結晶の観察結果を説明できた。この解析手法では軸対象である構造条件を仮しているために、ディスク形状以外の、例えば多角形の、スピン渦状態の解析ができない。一般形状の磁区構造の解析を行うために、LLG方程式に基づく計算シミュレーションを検討した。本年度では規模の小さい計算ソフトを完成させ2次元での計算を可能にした。作成したプログラムでは正方形の境界条件を持つ薄膜のスピン渦解を得ることに成功している。 実際に磁性体においてスピン渦状態を実現するための一つの方法として、微細磁性体結晶を利用する方法がある。本研究ではリソグラフ技術とエッチング技術を応用した作成方法も検討する予定であるが、本年度は、プローブ顕微鏡を用いた磁気マウンド作成方法について検討を行った。CoをスパッタリングによりSi探針上に蒸着する。酸化膜を付けたSi基板上に探針を近づけ数msから数百mSのパルスを印加して探針上Coを基板につける試みを行った。その結果、大気中の実験ではあるが、数+nmから数百nmの直径を持つ磁気マウンドが作成できた。またMFMによりその磁区構造の観察を行った。詳細については継続して研究中である。 MFMによる磁区構造観察では、磁性体探針と試料との磁気双極子相互作用が無視できない。その影響がない測定手段としてスピン走査型電子顕微鏡があるが、これまで開発を進めてきたスピン走査型電子顕微鏡をスピン渦研究に応用するための準備を行った。
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