1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750110
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
扇谷 保彦 長崎大学, 工学部, 助教授 (60203725)
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Keywords | 歯車 / プラスチック / 振動・騒音 |
Research Abstract |
動力伝達用プラスチック歯車の低騒音化を図る方策を検討することを目的としてナイロン樹脂歯車を鋼歯車と組み合わせ使用する場合の騒音発生状態について詳細に調べるとともに試験歯車の振動モード解析を実施した.また,ナイロン樹脂歯車と組み合わせた歯車対とフェノール樹脂歯車を鋼歯車と組み合わせた歯車対の騒音発生状態を比較し,プラスチック材料の機械的性質が騒音発生に及ぼす影響について検討した. プラスチックは振動や衝撃の吸収性に優れていることからプラスチック歯車は振動吸収性に優れ低騒音であると考えられる.しかし,検討の結果,ナイロン樹脂歯車と鋼歯車の歯車対では,ナイロン樹脂の弾性率が鋼に比べ非常に小さいため,かみ合い時のナイロン樹脂歯車の歯のたわみが相手鋼歯車に比べ非常に大きくなること,歯のたわみの違いが歯車対に大きなかみ合い伝達誤差を生じさせること,歯車対に生じる大きなかみ合い伝達誤差が運転騒音を大きくする主な原因であることが明らかになった.また,ナイロン樹脂とフェノール樹脂の機械的性質の違いが歯車の運転騒音発生に及ぼす影響を調べた実験では,ナイロン樹脂の方が振動や衝撃の吸収性に優れているにもかかわらず,ナイロン樹脂歯車の運転騒音が小さいとういう結果は得られず,逆にナイロン樹脂歯車と鋼歯車の歯車対の歯車軸系の振動はフェノール樹脂歯車と鋼歯車の歯車対より激しくなるという結果が得られた.この結果もナイロン樹脂の弾性率がフェノール樹脂に比べ約1/6と小さいためフェノール樹脂歯車よりナイロン樹脂歯車の歯のたわみが大きくなる影響が現れたものと考えられる. 以上の結果より動力伝達用プラスチック歯車の低騒音化を図るには,相手鋼歯車との歯の剛性の違いから生じるかみ合い伝達誤差を減少させ滑らかな歯のかみ合いを実現することが重要であることが明らかになった.
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