1999 Fiscal Year Annual Research Report
非定常燃料噴霧の着火遅れに及ぼす雰囲気条件、噴射条件および燃料組成の影響
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10750144
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
小堀 繁治 茨城工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (40225561)
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Keywords | ディーゼル機関 / 燃料機関 / 着火遅れ / 燃料噴射 / 急速圧縮装置 |
Research Abstract |
ディーゼル燃焼を単発で模擬できるボア60mm,ストローク100mmの電子制御-油圧駆動方式の急速圧縮膨張装置を用いて雰囲気条件,噴射条件および燃料組成を変化させてディーゼル燃料噴霧の着火遅れを測定した.その結果,雰囲気圧力4.2MPaのもとで燃料噴射圧力を30MPaから100MPaまで上げた場合,また燃料噴射圧力100MPaのもとで雰囲気圧力を16MPaまで上げた場合の着火遅れは飽和することなく短縮し続けた.また雰囲気圧力4.2MPaおよび燃料噴射圧力100MPaの条件でノズルの噴口径を小さくすると着火遅れは短くなるが,噴口径がφ0.05mm以下になると着火遅れはほぼ一定となり,温度に対する着火遅れの傾向は衝撃波管を用いた炭化水素系燃料の均一予混合気の着火遅れの傾向に類似していることが示した.着火遅れに及ぼすセタン価およびセタン価向上剤の影響について,基準燃料をセタン,デカリン,1-メチルナフタレンの混合燃料とし,各々の混合割合を調整し,セタン価を35〜55に変化させた所,物理遅れが支配的な高温領域では着火遅れに対するセタン価の影響はほとんどないが,化学遅れが支配的な低温領域ではセタン価の増加に伴い着火遅れが短縮した.またセタン価向上剤の影響を調べるために2-エチルヘキシル硝酸塩とdi-t-ブチル過酸化物を用いて,比較実験を行った結果,燃料組成によらずセタン価が同じであれば,着火遅れも等しくなることが分かった.最後にエンジン始動時,すなわち燃料噴射圧力を30MPaまで下げ,壁面温度も室温付近まで下げて着火遅れを測定したところ,着火遅れは燃焼室壁面温度に影響されず,燃料噴射圧力の違いに大きく影響されることを示した.最後に一連の着火遅れ測定実験において,燃焼室の中心部の雰囲気温度が900K前後で,着火遅れの温度依存性に変化が生じる.この温度は燃焼室壁面温度,セタン価,および雰囲気圧力に関係ないことが分かった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小堀繁治、神本武征: "ディーゼル機関の着火遅れに及ぼす雰囲気条件、噴射条件および燃料性状の影響"日本機械学会論文集 B編. 65巻・631号. 1152-1158 (1999)
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[Publications] 小堀繁治、神本武征: "急速圧縮装置を用いたディーゼル燃料の噴霧の着火遅れに及ぼす雰囲気条件の影響"茨城講演会講演論文集. No.990-1. 151-152 (1999)