1998 Fiscal Year Annual Research Report
衝撃電界重畳法によるフロン分解の大体積化および選択的分解反応促進に関する基礎研究
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10750201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 広剛 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90241356)
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Keywords | フロン分解 / 非平衡プラズマ / 衝撃電界 / 電子衝突断面積 / プロパゲータ法 / 電子エネルギー分布 / エネルギー効率 / 選択性 |
Research Abstract |
オゾン層破壊・地球温暖化の原因ガスであるフロン12の効率的分解処理を目的として、非平衡ブラスマに衝撃電界を重畳する方法によりエネルギーの揃った電子の衝突を利用して選択的かつ大体積の分解反応を促進する技術の基礎的研究、および、その解析に用いる関連気体中の放電特性値ならびに電子輸送係数の資料収集を行なった。 本年度は次年度の準備段階として、上記の資料収集、数値化・計算機入力、電子衝突断面積の構成と調整を行ない、既知のデータをほぼ網羅し概ね実用に耐えるフロン12の電子衝突断面積を得た。また、実用段階で想定される空気中に混入したフロンの分解を考慮するために、空気(酸素・窒素混合気体)中の電子輸送係数等を整備した。 一方で、フロン12の電子衝突断面積の構成の完了を待つ間、プラズマ解析例の豊富なアルゴンガスやモノシランガスを用いて解析プログラムの動作確認を行ない、これに続く過渡解析により、衝撃電界重畳による選択性向上原理の検証を行なった。 衝撃電界重畳の方法には、電界強度、印加時間、位相などの制御変数があるが、交流電界1周期の中で最も電子温度が低い位相、即ちエネルギー分布が低エネルギー部に集中する位相を選んで衝撃電界を加えるとエネルギー分布が集中し選択性が高まることが示された。選択性向上の度合を定量的に評価するために、最も選択性が高いと考えられる電子ビーム入射時を比較規準として評価する方法を考案し、比較対象となるデータをモンテカルロ法により算出した。これらの結果から、一般に高い電子エネルギーを要する反応を選択性は電子エネルギーの増加とともに単調に向上するが、プラズマ中では衝撃電界がプラズマシースに吸収されるまでの時間、即ち電子の有効加速時間が制約となるため、衝撃電界印加持続限界の算出・評価が実機設計の際の主要な要素であることが示唆された。 なお、本研究の副産物として、衝撃電界重畳の効果がフロン以外にも、プロセスプラズマでの活性種の選択的生成促進などに応用可能であることが示唆された。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] H.Sugawara: "A calculation technique for transverse evolution of electron swarms in gases" 51st Ann.Gaseous Electronics Conf. (Am.Phys.Soc.). BM1.05 (1998)
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[Publications] H.Sugawara: "A calculation technique for transverse evolution of electron swarms in gases" Ext.Abst.4Th Int.Conf.on Reactive Plasmas and 16th Symp.on Plasma Processing(応用物理学会). 21-22 (1998)
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[Publications] 深谷昌史: "ボルツマン方程式解析によるCCl_2F_2の電子衝突断面積の推定" 平成10年電気学会放電研究会. ED-98-213 (1998)
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[Publications] 菅原広剛: "電子群横方向進展のモーメント方程式解析" 平成10年秋季第59回応用物理学会学術講演会. 16a-H-6 (1998)
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[Publications] 下田託郎: "RF電界下の電子群解析-インパルス電界重畳の効果-" 第34回応用物理学会北海道支部 第4回レーザー学会東北・北海道支部合同学術講演会. B-24 (1998)
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[Publications] 下田託郎: "衝撃電界重畳法による弱電離プラズマ反応の制御" 平成10年度電気関係学会北海道支部連合大会. No.213 (1998)
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[Publications] 高橋義和: "空気中における電子群輸送係数" 平成10年度電気関係学会北海道支部連合大会. No.208 (1998)
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[Publications] 深谷昌史: "CCl_2F_2電子衝突断面積の推定(II)" 平成10年度電気関係学会北海道支部連合大会. No.214 (1998)
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[Publications] 深谷昌史: "CCl_2F_2電子衝突断面積の推定(III)" 平成11年電気学会全国大会. No.52 (1999)
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[Publications] 高橋義和: "空気中におけるコロナ放電のモデリング(I)" 平成11年電気学会全国大会. No.62 (1999)
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[Publications] 下田託朗: "衝撃電界重畳法の解析-SiH_4プラズマ中の電子速度分布-" 平成11年春季第46回応用物理関係連合講演会. 30p-G-5 (1999)