1998 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアクチュエータの遠隔駆動のための光・運動変換機構
Project/Area Number |
10750233
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 馨 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (40263230)
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Keywords | 光電変換 / 圧電素子 / 遠隔駆動 / 振動駆動 / 選択駆動 / マイクロマシン |
Research Abstract |
本研究では、エネルギーの源とその伝達、およびマシン内での動力への変換をマイクロサイズのデバイスで行なうという問題を克服し、単独で自由に動き回る「トラベリングロボット」を実現し得る駆動機構として光電効果と圧電効果を組み合わせた遠隔駆動機構を提案している。 光電変換部のa-Si太陽電池の直列接続構造の作製において、レーザアブレーションによる加工を試みた。レーザとしては、現有設備でもっとも高いエネルギが得られるArFエキシマレーザ(波長193nm)を用いた。これにより、絶縁加工線幅10μmまで不透明電極(Al),透明電極(ITO)の絶縁が充分得られることが分かったが、a-Si層を加工すると絶縁が得られなくなった。この原因を究明するため、加工部分およびその周辺部のa-Si層をラマン分光法により調べてみたところ、520cm^<-1>付近にかなり鋭いピークが見られ、a-Siが部分的に結晶化していると推察される。本来a-Siは抵抗率が高く横方向の絶縁性が高いが、レーザ照射により高導電率のpoly-Siが形成されこれが絶縁性を損ねていると考えられる。これを改良するため、レーザの1ショット当たりのエネルギを下げる、加工面積を広げる、フォーカスをぼかすことによりエネルギの集中を押える等の対策を試みたが、太陽電池層の絶縁性は改善されなかった。これは、使用したレーザの波長が193nmと非常に短いことが原因と考えられる。すなわち、非常に短波長のレーザを用いたためa-Si層での吸収深さが浅く、極表面層のみで吸収されるため、化学結合を断ち切る本来のアブレーションの効果以上に熱的効果が大きく、a-Siが一旦熔融した後再結晶化することによりpoly-Siが形成されたと考えられる。 これを防ぐため、1)加工用のレーザとして波長の長いXeFエキシマレーザ(351nm)を用いる、2)ウェットエッチングにより直列接続構造を作製する、の二つの方法を検討した。1)に関しては次年度以降実際に加工ができるよう加工系、ガス系を現在整備中である。2)に関して、a-Siを素早くエッチングするために弗酸・硝酸系のエッチャントを用いるため、下部不透明電極としてこのエッチャントに耐えるPt/Tiを採用した。この下部電極を用いてa-Si太陽電池を試作したところ、Alを用いた場合とほぼ変わらない特性を得ることができた。
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