1998 Fiscal Year Annual Research Report
YIG薄膜マイクロトリップ線路形ソリトン導波路に関する研究
Project/Area Number |
10750253
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
大久保 賢祐 岡山県立大学, 情報工学部, 助教授 (50243118)
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Keywords | 静磁波 / ソリトン / YIG薄膜 / マイクロストリップ線路 / パルス圧縮 |
Research Abstract |
低損失のフェライトであるイットリウム・鉄・ガーネット(YIG)薄膜を基板とするマイクロストリップ線路を伝搬する静磁前進体積波(MSFVW)の包絡線ソリトンに着目し,YIG薄膜マイクロストリップ線路がマイクロ波のパルス圧縮および短パルス発生デバイスとして動作することを理論的・実験的に示している. 実験に用いたYIG薄膜はガドリニウム・ガリウム・ガーネット(GGG)基板上に液相成長されたものである.接地導体上に置かれたYIG薄膜の上にストリップ導体を置き,入出力端子を構成し,MSFVWを伝搬させるため,バイアス直流磁界をYIG面に垂直に加えている. 3GHz付近のマイクロ波をPIN変調器によって30〜50nsのパルスに変調し増幅器で増幅し,これをマイクロストリップ線路の入力端子に加え出力端子に現れるパルスの波形をオシロスコープで観測たところ,出力信号は入力信号に比べパルス幅が狭くなりパルス圧縮動作が見られた. 観測されたパルス圧縮特性を理論的に検証するためにスプリットステップフーリエ法を用いて数値シミュレーションを行ないMSFVWソリトンの伝搬の様子を明らかにしている。 数値シミュレーションの結果,入力信号は短い伝搬距離で急激にパルス幅が狭くなりsech状のソリトン波形となって伝搬していくことがわかる.このとき出力信号は入力信号に比べ振幅が大きくパルス幅が狭くなりパルス圧縮動作が見られる.また静磁波ソリトンはYIGの磁気損失に敏感に反応しソリトン形成後急速に減衰することがわかった. これらからシミュレーションの結果は実験結果と幾分異なっているもが,ソリトンによるパルス圧縮特性が現れていると考えられる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大久保 賢祐,堤 誠: "YIG薄膜マイクロストリップ線路における静磁体積前進波ソリトン" 電子情報通信学会論文誌. C-I・7. 429-435 (1998)
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[Publications] M.Tsutsumi,T.Ueda,K.Okubo: "Nonlinear behavior of electromagnetic waves in YIG film microstrip line" IEEE International Microwave Symposium. MWSYM. 841-844 (1998)