1998 Fiscal Year Annual Research Report
太陽光の水中微生物に対する致死および回復作用の定量評価
Project/Area Number |
10750409
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
神子 直之 茨城大学, 工学部, 助教授 (70251345)
|
Keywords | 太陽光 / 紫外線 / 大腸菌群 / 消毒 / 光回復 |
Research Abstract |
都市下水に対して紫外線照射を行い、続けて可視光を照射することにより、細菌の光回復を生じさせる実験を行った。感染性細菌の代表として大腸菌群を用いた。紫外線源として4W低圧水銀灯を用い、中央直下で完全混合になるように試料を撹拌しながら照射を行った。紫外線量は照射時間を変更することにより調節した。可視光源として蛍光灯および太陽光を用いた。光線量の測定には検出中心波長が360nmの検出器を用い、入射角を測定することにより実際の光線量を算定した。可視光照射の際には試料をシャーレに入れ、吸光度の影響を避けるために液深を小さくして照射を行った。一方、光回復の過程を記述するモデルとして、細菌個体における遺伝子損傷が複数蓄積することおよび光回復が多重ヒット性-標的と見なせることを仮定した生存数の変化速度モデルの開発を行った。紫外線および可視光照射による光回復実験の結果、大腸菌群の光回復における生残数の変化速度は同モデルで算定、予測できることが明らかとなり、同モデルの妥当性が実験的に示された。また、可視光として太陽光を用いた場合には対照実験より求められる速度の不活化反応が同時に進行する場合があるとの結果が実験より得られた。単一の実験においてその不活化および光回復の過程をモデルで説明することは可能であったが、採水時期が異なる場合には速度定数の値が異なるものとなった。そのように再現性が乏しい原因は今のところ不明で、より制御された条件で実験を繰り返すことにより、明らかにする予定である。
|