1998 Fiscal Year Annual Research Report
ストラスブール大聖堂の建築工匠,ハンス・ハンマーの図面集に関する研究
Project/Area Number |
10750466
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坊城 俊成 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80292887)
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Keywords | 中世ゴシック / 建築工匠 / ハンス・ハンマー / ストラスブール / ヴィラール・ド・オンヌクール |
Research Abstract |
本年度は研究期間2年の初年度にあたるため、基礎的な作業に主眼をおいた。 第一に、中世ゴシック建築に関する現存図面に関して、データ・ベース化に着手した。″LES BATISSEURS DES CATHEDRALES GOTHIQUES″(『カテドラルをたてた人々』邦題:申請者訳、1992年、ストラスブール。本書籍は関連研究において最新かつ最も信頼のおけるものである)に掲載された資料のうち、本研究で扱っている建築工匠ハンス・ハンマーに関係する雇用契約書、図面などを中心に、これらと関連づけられる図面、資料の整理を行なった。 第二に、申請者がすでに入手したハンス・ハンマーの図面集のカラー写真による複写と、同じく申請者がドイツのヴォルフェンビュッテル図書館で実際に記録した複写では写らない鉄筆による作図線とを、コンピュータのCADを用いた立体的な作図を始め、来年度の図面集の総合的な分析にあてる。 また、すでに世界的に研究が進んでいるヴィラール・ド・オンヌクールの画帖について、特に教会堂の平面図の作図手法に着目し、このことに関する研究者との情報交換と通じて、ハンス・ハンマーの図面での作図手法との比較を行ない、申請者の研究の方法論に役立てることができた。 本年度は、こうした建築図面についての分析とともに、ハンス・ハンマーの図面集の中の建築図面以外の建築行為に関する多岐にわたるスケッチや文字による情報についても分析、整理を行なった。この作業結果をもとに、来年度は図面集作成企図の解明、ひいては中世ゴシック建築の新たな理解へと発展的、総合的な研究を深めてゆく予定である。
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