1998 Fiscal Year Annual Research Report
置換型不規則合金の短距離秩序の非経験的評価法の確立
Project/Area Number |
10750482
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
高野 則之 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (10236250)
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Keywords | 不規則合金 / 短距離秩序 / 電子状態 / Cu-Pd / Ag-Pd |
Research Abstract |
2元系置換型不規則合金を対象として,KKR-Cluster CPA法をベースにマルコフ型の条件付き確率を用いて原子間の相関を取り入れた自己無撞着な電子状態計算プログラムを開発した.2種類の原子が隣り合う確率を変化させて結晶の全エネルギーを非経験的に計算することができる.その結果とクラスター変分法により得られるエントロピーより自由エネルギーを評価し,短距離秩序度を予測することができる. 本プログラムを用いてAg-Pd合金およびCu-Pd合金について短距離秩序の評価を行った.Ag-Pd合金は成分比1:lのとき短距離秩序を形成するという実験結果は報告されておらず.本計算結果も無相関のときに結晶の全エネルギーが極小を示した.一方,Cu-Pd合金は50%までの範囲でPdの濃度が増加するにつれてCuとPdが隣り合う確率が増加することが,D.K.Sahaらの実験によって明らかにされている.本計算でもこの傾向を再現し,定性的には実験と一致する結果を得た.しかし.高濃度側で短距離秩序パラメーターの値は実験値の半分近い値であった.今回の計算では計算機環境の制約もありKKR-Cluster CPAのクラスターサイズを4サイトで行ったが.実験値を高精度に再現するためにはもっと大きくとる必要があると考えられる. また.KKR-Cluster CPAにおいて同種原子に対して平均化した単一ポテンシャルを用いた場合とクラスター内の原子配置に依存した複数のポテンシャルを用いた場合について計算を行った.その結果,短距離秩序度に違いはないが,後者は凝集エネルギーを小さくする効果がある. 本研究により開発した計算法は短距離秩序の評価に有効であることがわかった.定量的な精度を向上させるためにはクラスターサイズを大きくする必要があるが,そのためにはプログラムの高速化が必要である.
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Research Products
(1 results)