1999 Fiscal Year Annual Research Report
微小ソレノイドコイルを探針としたSTMでの局所磁場印加による電気抵抗測定画像化
Project/Area Number |
10750483
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山崎 敬久 理化学研究所, 表面界面工学研究室, 基礎科学特別研究員 (60251641)
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Keywords | 渦電流法 / 走査型トンネル顕微鏡 / 電気抵抗測定 / 金属表面 / トンネル型磁気抵抗効果 / 電子スピン / コバルト / ソレノイドコイル |
Research Abstract |
STM(走査型トンネル顕微鏡)の探針として直径0.2mmの多結晶鉄針を用い、これをコアとした全長3mm、200回巻き微小ソレノイドコイルを装着できるSTMスキャナーを作製した。これはコイルとの同軸性を重視し走査用円筒型ピエゾを内側に高さ制御用円筒型ピエゾを外側に配置した構造となっている。この装置を用いれば原子配列に基づくフェルミ面構造と電気伝導性との関係を過電流法の相互インダクタンス変化から非接触にて検出できる。コイルに発生する磁界は1mAの電流を流した場合50A/mである。 試料には絶縁体のマイカ上に金を10nm蒸着したものを用いた。室温での抵抗率から算出した電子の平均散乱距離40nmから、試料の電気抵抗は表面と底面での電子散乱に依存すると考えられるが、過電流法から検出された相互インダクタンスは温度依存性を示し、格子振動の影響を測定していることが明らかとなった。またテラス部分で電気抵抗はほとんど一定であるが、探針を軽く接触させるとその部分の結晶構造が乱れ、トンネル電流(10nA)は流れるが過電流は10nmにわたって散乱を受ける。これらの結果から過電流法は表面過電流に敏感であり表面電気物性の測定に有用である。 別な利用法として鉄探針の磁化方向をコイルにより切り替えて、トンネル電流のスピンを選択し、磁性薄膜に対するトンネル磁気抵抗効果による電子スピン方向測定が考えられる。試料にはマイカ上にバイアス電圧印加用電極の金薄膜を蒸着しその上にコバルトを蒸着したものを用いた。抵抗変化はスピンのスイッチング周波数の1/2で同期したものとフィードバック制御による探針の振動に伴うものが観測された。スピン向きの決定にはデジタルロックインアンプからの出力を同期している時間のみから計算することが必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山崎敬久: "微小ソレノイドコイルを装着したSTMの開発"日本金属学会講演概要. 125. 524 (1999)
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[Publications] 山崎敬久: "異材接合界面での走査型微小ソレノイドコイルによる渦電流の散乱"溶接学会全国大会講演概要. 63. 416-417 (1998)
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[Publications] 山崎敬久: "渦電流法による異材接合界面の微小部電気抵抗測定"溶接学会全国大会講演概要. 61. 472-473 (1997)