1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750495
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 勝久 京都大学, 工学研究科, 助手 (80188292)
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Keywords | ファラデー効果 / ベルデ定数 / ガラス / 希土類 / 光吸収 / 磁気光学的性能指数 / 結晶場 / メスバウアー効果 |
Research Abstract |
一般に酸化物ガラス物質は可視域での透光性に優れている。この点を考慮するとガラスを磁気光学材料として応用する上で重要な現象はファラデー効果とフォークト効果であると言える。本研究では、Eu^<2+>含有ガラスのファラデー効果とEu^<2+>の局所構造との関係を単純な結晶場理論に基づいて考察し、アルカリケイ酸塩ガラスにおいて大きなファラデー回転角を実現した。また、Pr^<3+>を含むホウ酸塩ガラスが波長400nm付近で大きな磁気光学的性能指数を持つことを実験的に明らかにし、その原因を検討した。 ガラス試料の作製には通常の溶融法を用い、EU^<2+>の化学的状態を調べるため^<151>Euメスバウアー効巣測定を行った。ファラデー効果の測定には市販の装置を用いた。Eu^<2+>含有ガラスでは有効遷移波長が長いためベルデ定数の絶対値が大きい。よって、酸化物イオンの電子密度を高くするような組成を選択すればベルデ定数の絶対値が大きくなると予測できる。Eu^<2+>に配位する酸化物イオンの電子密度の指標としてメスバウアー効果の異性体シフトを採用し、これと有効遷移波長との関係を調べると両者には相関関係が見られた。この考察によりアルカリケイ酸塩ガラスで大きなファラデー回転角が実現した。例えば、30EuO・15.4Na_2O・54.6SiO_2ガラスにおけるベルデ定数の絶対値は波長600nmにおいて0.569min/Oe・cmであった。これはあらゆるガラス材料において最高の値である。一方、Pr^<3+>含有ガラスでは高い有効遷移確率が大きなファラデー回転角に寄与する。よってこの系では4f-5d遷移に対応する吸収波長よりも十分離れた波長領域でも大きなファラデー効果が期待できる。これは、ベルデ定数の波長依存性が吸光度の波長依存性よりも緩やかであるためで、この結果はまた、Pr^<3+>における大きな磁気光学的性能指数を示唆する。本研究のガラスでは25Pr_2O_3・75B_2O_3組成が15kOeの直流磁場下、波長400nmにおいて300℃を超える値を示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Katsuhisa Tanaka et al.: "Large Faraday effect and local structure of alkali silicate glasses containing divalent europium ions" Journal of Materials Research. Vol.13 No.7. 1989-1995 (1998)
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[Publications] Katsuhisa Tanaka et al.: "The Faraday effect and magneto-optical figure of merit in the visible region for lithium borate glassed containing Pr^<3+>" Journal of Physics D : Applied Physics. Vol.31. 2622-2627 (1998)
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[Publications] 田中勝久(分担執筆): "新版 ガラス工学ハンドブック" 朝倉書店, (1999)